
トヨタ、水素エンジンカローラで実証実験 水素の供給量の“自動切り換え技術”を搭載 市販化に向けた挑戦

5月30日から6月1日にかけて行われた「スーパー耐久シリーズ 第3戦」。参戦したトヨタ、マツダ、スバルは、ガソリンに植物由来のバイオエタノールを20%混ぜた「低炭素ガソリン」を搭載してサーキットを駆け抜けた。バイオエタノールは、原料となる植物が成長する過程で多くのCO2を吸収するため、カーボンニュートラルにつながる次世代燃料として期待されている。
さらに、トヨタは水素エンジンに“新システム”を導入した。広がりを見せるカーボンニュートラルの取り組みに迫る。
植物由来のバイオエタノールを20%混ぜた低炭素ガソリン

このスーパー耐久シリーズに燃料を提供するのはENEOSだ。国内大手自動車メーカー4社(トヨタ、マツダ、スバル、日産)とエネルギー大手が未来の燃料を共同開発していくことを発表した。将来的には日産も低炭素ガソリンを使用する予定だ。
水素の量を自動的に切り替えるシステム

そしてトヨタは過去4年間、スーパー耐久シリーズに参戦して、新たな挑戦があった。液体水素を燃料とする水素エンジンカローラに搭載したのは、エンジンに供給する水素の量を自動的に切り替えるシステムだ。
トヨタ自動車 伊東直昭さん:
「この先、水素エンジンも航続距離・燃費の向上が市販化を狙うのであれば必要。高出力と燃費を両立させる、エンジン燃焼の切り替え技術です」

アクセルを踏み込めば大量の水素を供給してパワーを追求する。一方、アクセルを緩めれば、供給量を減らして燃費を上げる。本来、速さやパワーが求められるレースでは水素の供給量の調整は必要ないが、水素エンジンの燃費を向上させて市販化を目指すためには必要な技術となる。
この新システムを搭載した水素エンジンのGRカローラは、悪天候の中でも激走。実証実験を通して、十分に実用化できることが証明された。

トヨタ自動車 GRカンパニープレジデント
高橋智也さん:
「いかに量産に向けて技術を高めていくかが、今回のテーマでした。狙いとして仕込んできた、自動切り換え技術がうまく作動することもわかりましたし、もっと高めていくことで将来、お客さまに市販車として使っていただけます。大きく前進をしたと思います」