乗っていたバスが突然林へ…22人が死傷した大型バス事故 乗客が語った“その時”「急に来て出血した方が何人も」

　三重県御浜町で2025年3月22日、大型バスが防風林に突っ込んだ事故では、運転手1人が死亡し、乗客21人がケガをしました。24日、運転手の死因が病死であることが分かりましたが、当時の車内の状況について乗客が語りました。

■15分程閉じ込められ…乗客が語った当時の状況「口から出血している人も」

　事故があったのは御浜町下市来の国道42号線で、22日午後8時半ごろ、和歌山県那智勝浦町からさいたま市に向かっていた「西武観光バス」の夜行バスが、センターラインを越えて道路わきの防風林に衝突しました。

現場は片側1車線の直線で、バスはセンターラインを越えて防風林に突っ込んだとみられています。 バスは、フロントガラスがつぶれ、木々に食い込むようにとまっていました。

この事故で、運転していた橋爪悟司さん(57)が死亡し、乗客21人がケガをしましたが、いずれも命に別状はありません。 119番通報した人： 「家にいたら、ガシャガシャドカーンって家が揺れた。服に血がついて、タオルで押さえている方もいたし」 バスの車内にいた男性が、当時の状況を話しました。 車内にいた男性： 「ガタンと落ちるような感じがした後に、何かにぶつかったような衝撃がきた。（Q.ブレーキをかける様子や気配は？）特にそこまで感じなかったですね。急にきたという感じで。頭を打った方だったり、鼻や口から出血している方も何人かいました」 さらに、バスのドアがつぶれたため乗客は車両から脱出することができず、救急車両が到着するまでの15分ほど閉じ込められたといいます。

車内にいた男性： 「茂みに突っ込んだ感じだったので後ろの非常口も開かなくて、消防士の方が開けてくれて、そこからみんな降りた」 事故から14時間が経った23日午前11時ごろ、バスはレッカーで移動されました。

■事故直前の様子が防犯カメラに…勤務前は9時間半の休息をとっていた

　運行していた「西武観光バス」によると、夜行バスは21日(金)の夜に、さいたま市の営業所から勝浦温泉に向けて出発しました。運転手2人体制で交代しながら、22日(土)の午前8時半ごろに和歌山県に到着しました。

運転手は、法令で定められている時間を超える9時間半の休息をとり、22日午後7時半ごろに勝浦温泉を出発し、そのおよそ1時間後、御浜町で事故が起きました。

事故を起こす直前、現場からおよそ3.6キロ離れたバス乗り場にいるバスの様子が防犯カメラに映っていました。特段、不自然な様子は見られません。

■運転手の死因は「病死」健康診断では持病は確認されておらず

　運転していた橋爪さんは、およそ20年勤務するベテランで、今回の路線も複数回担当しています。

出発前の体調に異常はなく、2024年11月の健康診断でも、事故につながるような持病は確認されていませんでしたが、三重県警は24日夕方、橋爪さんの死因を「病死」と発表しました。 運転中、何らかの原因で突然、心臓が止まったとみられるということです。 三重県警によると、事故現場には目立ったブレーキ痕はなかったということです。また、事故現場は緩やかな左カーブですが、現場のおよそ100メートル手前からハンドル操作を誤った可能性があることが、捜査関係者への取材で新たに分かりました。

三重県警は24日、さいたま市大宮区のバス運行会社に過失運転致傷の容疑で家宅捜索に入っていて、バスの運行や勤務記録を押収し、詳しい事故原因に加え、運転手の勤務実態や会社側の安全管理に問題がなかったか調べる方針です。