華金でもお客さんゼロ。今池の中華が仕掛けた逆転の一皿
名古屋の街には、「美味しそうなのに、なぜか人が入らない店」があります。舞台は繁華街・今池。金曜の夜でにぎわう通りの中、駅徒歩1分の好立地にありながら、どこか入りづらい空気をまとった「熊猫厨房」。その理由を探るため、人気中華料理店の店主が実際に足を運び、新メニュー開発に挑みます。
華金でもお客さんゼロ…個性派麺が並ぶ実力店

華金なのに閑古鳥が鳴く店内
週末の夜にもかかわらず、「熊猫厨房」の店内はまさかの来客ゼロ。開店から9年、店を切り盛りしているのは店主の森さんとパートナーの楊さんの2人です。

四川料理を独自にアレンジした名物メニュー「ラーズージー麺」
看板メニューは、唐辛子や花椒をふんだんに使った四川料理を麺にアレンジした「ラーズージー麺」。さらに店主のおすすめは、中国の屋台で親しまれる「葱油拌麺(ツォンユウバンメン)」で、紹興酒を効かせたタレでシンプルに和えていただく一杯です。

中華激戦区で、あえて尖る。個性で勝負に出た店主
そのほかにも、中国陝西省(せんせいしょう)ではポピュラーな特製ダレに熱々の油をかける「ユーポー麺」や、広東省(かんとんしょう)でよく食べられている小エビと卵を合わせた「ジャーズゥチャオ麺」など、地域色豊かな麺料理が揃っています。

電気代までも節約する経営状態という現状
個性的なメニューで勝負していますが、集客にはつながっていないのが現状です。取材が入っても客足は伸びず、家賃や光熱費の負担も大きく、照明を最小限に抑えるなど厳しい経営が続いています。
名物中華店主が参戦。崖っぷちの一軒に逆転の一手を

ふわとろサクッに感動!押しも押されぬ安城名物・北京飯
頼みの綱はランチ営業ですが、お客さんの入れ込みによっては、赤字になる月もあります。まさに崖っぷちの状況です。
そこで助っ人として依頼したのが、安城市で人気を集める中華料理店「北京本店」の代表・杉浦さんです。動画は300万回以上再生され、看板メニューの「北京飯」は地元名物として知られています。

ラーズージー麺を進化させ、お店を象徴する一杯を目指すことに
まずは正体を明かさず、一人のお客さんとして来店。人気メニューの「ラーズージー麺」を注文します。
味のバランスには好印象を抱きつつも、この一杯が持つポテンシャルを“来店の決め手”にまで引き上げたいと指摘します。単に味を磨くだけでなく、思わず食べに来たくなる理由をどうつくるか——その演出こそが重要だと語ります。
ヒットの鍵は“インパクトと体験”。あんかけスパ風へ大胆刷新

名古屋めしのあんかけスパを連想させるビジュアルへ
杉浦さんが提案したのは、ラージーズー麺を従来のラーメンとしてではなく、名古屋めしを想起させる「鉄板あんかけスパ風」にアレンジして提供するというアイデアでした。
湯気や音といった五感に訴える演出で、料理のインパクトを高める狙いがあります。実際に自身の店でも、器を石鍋に変えただけで注文数が大きく伸びた経験があるそうです。

餡との相性や食感の変化を楽しめるように、2種類の麺を混ぜる
改良はタレ作りから始まり、ごま油と醤油をベースにスープで調整。さらに「餡をもっとたっぷり」とのアドバイスで、見た目と満足感を強化しました。
仕上げは、お客さん自身が餡をかけるスタイルに変更し、臨場感を演出。レタスを加えて食感にもアクセントを持たせました。試行錯誤の末、2種類の麺を使った新メニューが完成します。

見た目からしずる感のある一杯へ
杉浦さんのSNSでの発信も後押しとなり、再起への一歩を踏み出した「熊猫厨房」。今池で“あたりまえに選ばれる店”となる日は来るのでしょうか。気になる方は、ぜひ足を運んでみてください。