
殺処分に至った経営者「お先真っ暗」…止まる気配ない“卵の高騰” 鳥インフルエンザに見舞われた養鶏農家の現状


卵の高騰が止まりません。2025年1月以降、愛知県内の養鶏場で多発した鳥インフルエンザによる殺処分の影響や飼料等の高騰が影響していて、関係者が頭を悩ませています。
■卵の値上げに客も悲鳴…スーパーの担当者「毎週のように値上げの連絡が」
名古屋市千種区のスーパー「サンエース」では2025年3月17日、卵のMサイズが1パック225円(税込)と、数量限定で安く販売されていました。

しかし…。 サンエースの担当者: 「毎週のように値上げのご連絡がありまして」 このスーパーでは1月中旬に1パック247円(税込)で販売していましたが、現在では定価で279円(税込)で、価格は上がる一方、止まる気配がありません。 70代: 「また値上げした。そろそろ危険を感じてきたな」 30代: 「厳しくはなっていますね」 60代: 「高くても必需品だから、必ず冷蔵庫にないと。困ります、なんとかしてください」
■鳥インフルによる殺処分に飼料代の高騰が影響
卵の高騰が続いている原因は「鳥インフルエンザ」の影響です。 サンエースの担当者: 「鳥インフルエンザで、鶏がかなりの数、殺処分されたことが1番大きいです」 鳥インフルエンザによる殺処分で、ニワトリの数が減っていることに加え、飼料や人件費、電気代の価格高騰も影響しているといいます。

2025年1月、常滑市の養鶏場で発生したのを皮切りに、半田市、阿久比町を含めた13農場で相次いで発生し、ニワトリなど合わせておよそ187万羽が殺処分されました。 県は3月9日にニワトリや卵の移動を禁じる「移動制限」を解除し、さらに発生農場周辺での死んだ鳥の数など報告を求める「監視強化区域」についても、17日午前0時で解除しました。これですべての制限区域が解除されました。
■殺処分に至った経営者「この先どうしていけばいいのか…」
知多半島の養鶏農家の現状はどうなっているのか、知多養鶏農業協同組合の齋藤利明組合長に聞きました。 知多養鶏農業協同組合の齋藤利明組合長: 「知多(で発生)は初めて。殺処分されると収入はゼロですので」

齊藤さんの養鶏場は感染確認されませんでしたが、組合に所属する4つの養鶏場で確認され、殺処分に至りました。 その一つの養鶏場を経営する40代男性は…。 養鶏場の経営者: 「お先真っ暗になっちゃいましたし、スタッフもものすごく肩を落としましたし、この先どうしていけばいいんだろうとすごく心配になりました」 男性の養鶏場では2025年1月に感染が確認され、ニワトリ合わせておよそ20万羽が殺処分されました。現在、鶏舎は空だといいますが…。

養鶏場の経営者: 「鶏舎の借入返済額とか、従業員さんの人件費もありますし、電気代だとかもろもろの固定費は大きいかなと」 収入がない中、スタッフ20人ほどを抱え、経営に厳しさを感じています。 養鶏場の経営者: 「(1羽の購入に)1300円~1500円ほどはかかるかなと思うので、うちでは20万羽で3億ほどの費用がかかる。病気から守れなかったことは農場としても悔しいですし、大変申し訳ない気持ちでいっぱいです」
■クラウドファンディングで仲間が支援
そんな仲間を手助けしようと、同じ組合の若手が中心となり支援を始めました。 知多養鶏農業協同組合の齋藤大士さん: 「知多養鶏農業協同組合でクラウドファンディングを始めています。被災した農家に対して、支援金を分配できればなと思い、始めました。直接的な被害に関する費用の補償はあるんですけども、間接的に表に出てこないようなところも費用がかかってくるので」 クラウドファンディングの目標額は100万円で、国や県の支援策でカバーされない部分に充ててもらいます。

1口1000円からで、5000円以上の支援には返礼品として卵セットや知多の鶏肉を使ったレトルトカレーなどを提供するということです。 知多養鶏農業協同組合の齋藤大士さん: 「今回の支援で、農家にぜひ応援をよろしくお願いします」