春闘パート従業員の賃上げ率“過去最高”その現実は…パート雇う”地域密着スーパー”社長の葛藤

高額回答が目立つ今年の春闘。パートでも大幅アップの妥結が相次いでいると連合傘下の労働組合は発表していますが、果たして広がりは。
物価高のなかで迎えた今年の春闘。大手製造業を中心に大幅賃上げの回答が相次ぎましたがーー
「パート組合員の妥結結果は時給総額6.53%、75.7円となり去年を大きく超えて現時点では過去最高の妥結結果となりました」(UAゼンセン 永島智子 会長)
流通や外食、繊維などの労働組合でつくる「UAゼンセン」は、3月13日、先行妥結した加盟組合で、パート従業員の平均賃上げ額が時給あたり75.7円、率にして6.53%となったと発表しました。
賃上げ率は、この段階の集計としては過去最高だとしています。
地元スーパーは物価高と葛藤

愛知県瀬戸市の「新鮮市場いせや」。新鮮な食材を店舗だけでなく、地元の飲食店や施設にも販売する地域密着型のスーパーです。
従業員35人のうちパートは21人。店には欠かせない戦力です。こちらのスーパーでも8月ごろに賃上げを予定していますがーー
「世の中は5~6%の賃上げと言われていますので、そこのレベルまでは持っていきたいなとは思っているが、正直な話ちょっと厳しいところ」(新鮮市場いせや 福丸明男 社長)
高値が続くハクサイに卵。今後も鶏肉や油などで仕入れ価格のさらなる高騰が見込まれています。
賃上げには、そもそも給料にあてがう原資が必要ですが、企業体力が乏しい中小企業では厳しい現実もあります。
「本当は商品に上乗せして利益いただかないといけないのですが、なかなか価格転嫁がうまくいっていなくて、僕らの気持ちとしてお客様には物価高の中、よりお値打ちに商品を買ってもらいたい気持ちもある。そことの葛藤です」(福丸社長)
最低賃金も引き上げられ…

葛藤する福丸社長。背景にはもう一つの事情が。それは最低賃金です。
人を雇う時に最低限払わなければいけない最低賃金は、年々大幅な引き上げが続いています。
愛知県では去年の秋、時給1027円から1077円に50円引き上げられました。2020年からの4年でみるとあわせて150円の引き上げになります。
店の時給は、最低賃金をわずかに上回る1080円から。待遇が大手に劣ると採用面にも響かないか、葛藤は続きます。
「なかなか賃上げがそこまで高く上げられない部分もあるので、店の雰囲気を良くし、勤務時間を短くして働きやすさを重視して進めているところ」(福丸社長)
従業員の受け止めはーー
「授業参観があると休んでいいよとか、気軽に休める。賃金が他が高くて、ここが少し低かったとしても働きやすいところの方が自分も楽しく働けるので、私は働きやすさを重視する」(パートで働く人)