県の職員「週休3日」、市役所の開庁時間を短縮…進む公務員の働き方改革 愛知
公務員の働き方改革が進んでいます。現場を取材しました。
先週、愛知県が打ち出した、「働きかた」に関する新たな取り組み…
愛知県 大村秀章知事
「週休3日を可能とするフレックスタイム制度を来年度から順次導入する」
愛知県は来年2026年の1月から、職員の「週休3日制」を導入すると発表しました。
現在、多くの企業が導入している「週休2日制」から、さらに休日を増やすというこの制度。働く人にとって、どんな変化があるのでしょうか?
「マイナビ転職」の瀧川編集長に聞きました。
瀧川さおり編集長
「週休3日制と聞くと、単純に休日が増えて稼働時間が減るというイメージをお持ちの人もいるかもしれないが、実は導入には様々なケースがあります」
嬉しいのは、休みが増えても「給与が変わらない」ことですが、なかなかそうはいきません。
勤務時間が減る分、給与も下がってしまうケースもありますが、愛知県は全体の勤務時間を変えない、つまり1日あたりの勤務時間を増やす」ことで、給与を維持する制度を導入します。
大村知事
「トータルの勤務時間はこれまでと変わりありません。快適で働きやすい職場環境を整備し、職員のウェルビーイングの実現や、公務職場の魅力向上を目指す」
行政が進める職員の新たな「働き方」は他にもあります。
開庁時間を短縮する狙いは…
常滑市役所の現在の開庁時間は「午前8時半から午後5時15分」です。
この時間を5月から1時間15分短縮し、「午前9時から午後4時半まで」にすることを決めました。
常滑市役所企画課 秋葉広介主任
「開庁時間短縮を決めた理由は2つあって、1つ目が開庁時間を短くすることで課内の情報共有や業務の見直しをすることで市民サービスの向上を図りたいというところ。もう1点は職員の働き方改革、開庁時間を短くすることで職員のワークライフバランスの推進、そういった所に寄与できれば」
この取り組み、決して職員の勤務時間が短くなるわけではありません。
変わるのは職員の「勤務時間の使い方」。
窓口が開いている時間の短縮によって生まれた「1時間15分」を別の業務にあてることで、市民サービスの向上につなげる狙いがあります。
市民窓口課の職員
「(勤務時間は変わらないですが)その分私たちが自席について業務出来る時間が増えるのでそこはとても助かる」
職員からは「負担が減る」といった好意的な声が聞かれましたが、一方で…
窓口課の職員
「今は午後5時15分まで開庁しているので、ギリギリにかけこんで手続きができたような人たちが、手続きができなくなってしまうことは懸念している」
市役所を利用する市民からは「早く帰りたいですよね、みんな」などと前向きに受け止める意見が多かった一方、「(日中)働いている人はちょっと大変だよね」といった声も聞かれました。
いかない窓口で市民の利便性アップを図る
「市民サービスの低下」を指摘する声に対し、市が新たに始める取り組みもあるといいます。
常滑市役所企画課 秋葉広介主任
「開庁時間を短くすることで生まれた時間を、市役所に来なくても手続きが完了するように『行かない窓口』っていうのを推進することで市民サービスの低下につながらず、市民の利便性がむしろ上がるような取り組みをすることにつなげていけたらいいなと考えております」
市は窓口での待ち時間短縮や混雑緩和のため、一部の対応をオンラインで予約できるシステムを2月から導入。
ほかにも、窓口に行かなくてもできる手続きの活用をうながすため、証明書のコンビニ交付の手数料を「200円」「450円」から一律で「10円」に値下げすることを検討しています。
市民サービスの維持と職員の働き方改革の両立。
窓口での対応時間をさらに30分短縮することも検討しています。
常滑市役所企画課 秋葉広介主任
「市民の方の利便性を上げるのはもちろん、職員自身も働きやすくなるような仕組みづくりができるのではないかと考えています」
各地で進む、公務員の「働き方改革」。「マイナビ転職」の瀧川編集長は行政が率先して導入することで制度の認知度が上がり、民間企業への波及が進むと期待します。
マイナビ転職 瀧川さおり編集長
「いまはスタンダードになっていますけれども、土日休みも公務員が早期に制度として取り入れたことで定着が進んだという見る意見もありますし、さまざまな職種や業種の企業が人手不足の課題感を抱えている中で公務員の導入が後押しになって定着しやすくなるという側面はあるかなと思います」