「職場での熱中症対策」が罰則付きの義務化に 建設現場では最新システム導入で熱中症ゼロ目指す

5月22日は各地で気温が上がり、3日連続で30度以上の真夏日となったところもありました。6月1日から職場での熱中症対策が義務化される中、最新のシステムで熱中症対策を進めている現場を取材しました。

22日、愛知県内では午後2時までに熱中症とみられる症状で8人が救急搬送されました。また、20日は熱中症の疑いのあった豊田市の80代の男性が、搬送先の病院で死亡しました。
街の人:
「大阪から来たんだけど、ここより(暑さは)ましです」
街の人:
「なんかいきなり気温が上がった感じがします。8月みたいな暑さ」
まだ5月ですが熱中症の危険性が高まっています。
国立環境研究所 気候変動適応センター
岡和孝主任:
「水災害や自然災害での死亡者は毎年100~200人。熱中症の死亡者はその5倍以上です。すでに(熱中症の)リスクは高いことは、留意いただきたい。今後、気候変動によって、さらに気温が上がることも見込まれる中で、今のうちに実効性のある対策をとらないと、今後も熱中症(になる人)の数が増えていってしまう」
6月1日から企業に熱中症対策を義務付け 違反の際は拘禁刑や罰金も

熱中症対策は待ったなしですが、6月1日から義務付けられるのが、職場での熱中症対策です。対象になるのは暑さ指数が28以上、または気温31℃以上の環境で連続1時間以上、または1日4時間を超えて行う作業です。
熱中症の恐れがある人や自覚症状がある人を見つけた場合の連絡体制を作ることや、体を冷やす、医療機関に搬送するなどの重症化を防ぐための手順を定めて、周知することなどが求められます。
対策を怠った場合、6カ月以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金が科されます。
建設現場の熱中症対策

名古屋市中区の高層ビルの建設現場。1日あたり約200人が作業にあたっています。現場の一角をのぞくと作業員がタブレット端末に向かって何かしています。
実はこれ、作業員の顔の表情や汗の量などをカメラで読み取り、AI=人工知能が熱中症のリスクを4段階で判定するシステムです。熱中症を初期症状から見つけられるようにと、4月に新たに導入しました。
鹿島建設 木村友昭所長:
「建物の階数が多くなればなるほど、(熱中症患者を)見つけづらくなるような傾向があるので、こういったシステムを使って、少しでも早く熱中症にかかった人を救急車で運んで、対応ができるようになるのではないか」

また、ヘルメットについているのは作業員が受ける熱などを検知するセンサーです。こちらも4月に導入しました。屋上には涼むことができるテントを設置するなど、さまざまな熱中症対策を行っています。
鹿島建設 秋田大次郎中部支店長:
「私が仕事を始めた頃は、熱中症という言葉すらなかった。ところが今は、熱中症との戦いは現場の大きな課題となっている。こういう対策を継続して、さらに進化させて、みんなが熱中症に対する意識を高く持っていくことで、この夏を熱中症ゼロで乗りきりたい」