絶滅の危機が迫る名古屋城のシカ 2頭の寿命は5年ほど 増やすため故郷の和歌山県に期待

名古屋城の堀には、来場者にも親しまれている動物がいます。しかし、寿命などから絶滅の危機を迎えているといいます。
徳川家康が築き、400年以上にわたり、名古屋の街を見守り続けてきたシンボル「名古屋城」。
その本丸を囲む内堀にいるのがシカです。
名古屋市によりますと、いつから名古屋城でシカが飼育されていたのかは分かっていませんが、江戸時代には飼育されていた記録が残っているといいます。
戦時中に一度は死滅しましたが、戦後に東山動植物園からもらい受けると、どんどん増えて、1970年代半ばには50頭を超えていたといいます。
しかし、その後激減し、この13年間、ここにいるシカは2頭だけ。
シカの世話を担当する職員に話を聞くと。
「(堀を)のぞかれてシカがいて、珍しがって喜んで帰られる客は多い。今はメス2頭なので、繁殖は難しい状態。(シカの寿命は)20年くらいと聞いている。今の2頭は14~17歳くらいで5年くらいすると寿命は来る」(名古屋市 名古屋城総合事務所 管理活用課 成瀬匡人さん)
市長「シカに長く居続けてほしい」

現在の2頭は両方メスで繁殖は期待できず、5年ほどで名古屋城のシカが“絶滅”する可能性もあります。
「私としてはシカに長く居続けてほしい」(名古屋市 広沢一郎 市長)
23日の名古屋市議会で議員からシカの現状について報告を受けた広沢市長は“絶滅の時”が迫るシカへの危機感を示しました。
さらに、議員からはシカの数を増やすための提案が。
「和歌山県にあるアドベンチャーワールドに頼んで名古屋城のシカの絶滅を防ぐのはいかがでしょうか」(自民党 名古屋市議団 浅井正仁 市議)
名古屋城のシカ今後どうなる

現在飼育している2頭は、1991年に和歌山城から寄贈されたシカの子孫だといわれています。
名古屋市はもう一度、和歌山城から寄贈を受けられないか検討しましたが、和歌山城のシカは去勢手術を受けていることが発覚。
今後、和歌山城が県内のアドベンチャーワールドからシカを譲り受ける予定だということが分かり、名古屋城にも同様に分けてもらえないかという話が持ち上がりました。
これに対し、市長は―
「名古屋城のシカは内堀で飼っていること自体が他城郭と比べても大変珍しく、多くの来場者に親しまれていますので、シカがいなくなってしまうのは避けたい事態。和歌山県にあるアドベンチャーワールドからシカを譲り受けることができるかについては、担当職員を派遣したい」(広沢市長)
名古屋城のシカは絶滅の危機から脱することができるのか。今後の進展に注目です。