
井村屋が“あずきの皮”や“生おから”などの食品ロスを原料化 肉まん・あんまんの生地などに活用 アップサイクルセンター設立で食品ロス削減を加速 「自社の食品ロスを自社の商品に」

「あずきバー」などの製造販売を手がける井村屋が、三重県津市の工場内にアップサイクルセンターを設立し、製造過程で発生する“生おから”や“あずきの皮”などの食品ロスを原料化して、商品として活用する取り組みを始めました。

既存施設を改修したアップサイクルセンターは、2階建てで延べ面積は748平方メートル。生産・加工機能や包装ラインも設けられていて、アップサイクル商品の一貫した生産が可能となっています。
2024年10月ごろから工事を開始し、2025年3月21日に竣工しました。設備投資額は約1億8000万円で、現在は本格稼働に向けた新設備のテスト稼働が進められています。

アップサイクルセンターでは、“生おから”と“あずきの皮”を乾燥させて粉砕。パウダー状にしたものを、既存商品への活用や、焼き菓子などの新商品開発が検討されています。
おからパウダーについては、肉まん・あんまんの生地に配合することが決まっていて、2026年の秋冬商品から採用できるように開発が進められています。肉まん・あんまんをレンジ加熱すると、水分が蒸発して生地がパサつくことがありますが、吸水・保水性があるおからパウダーを加えることで、ふっくらした食感になるということです。

同社では、年間で約3700トンの食品ロスが発生していますが、そのうちの5割を、とうふ製造の副産物である“生おから”、あずきあん製造で発生する“あずきの皮”、カステラ製造時に発生する“カステラの切れ端”の3品が占めています。特におからが多く、年間で約1300トンが廃棄されていました。
食品ロス削減の取り組みは2001年から実施していて、冷凍おからの販売や、カステラの耳の原料化などを行ってきましたが、あずきの皮の活用は今回が初めてだということです。

同社の担当者は「アップサイクルセンターの設立は、食品ロス削減をさらに加速させる意味合いがある。自社の食品ロスを自社の商品に使えるのが大きい」と話します。
2025年度の目標は廃棄物の57%削減(2023年度比)。2026年度以降は排出廃棄物ゼロ化に向けて対象を広げ、肉まん・あんまん生地の切れ端などについてもアップサイクル化を進めるということです。