「サガミ」のセルフ式のそば店の無人決済システムはAIとアナログの合体 人件費高騰に対抗

和食レストランチェーンを展開している「サガミ」が経営するセルフ式のそば店に、無人決済システムが導入されました。形が似たトッピングの「天ぷら」をどのように判別しているのか、取材しました。
セルフ式そば店の無人決済を導入する実験店舗

名古屋市に本社を置く、サガミホールディングスのセルフ式そば店「二代目長助」。天ぷらを取ってそばを受け取り、レジに向かうと瞬時に料金が表示されました。セルフ式そば店に無人決済を導入するための実験店舗です。
商品を受け取ってから会計金額が表示されるまでの時間を計ると、なんと7秒。通常の店舗では、会計担当の店員が天ぷらやそばを目で確認してレジに打ち込むため、14秒かかりました。

サガミレストランツ業態開発事業部
阿曽 俊介部長:
「食の部分はどうしても人の手をかけるべき部分だと、我々の考えもあります。おいしいものをより安くと考えたときに、レジの会計作業で効率化を進めていけるのではないかと」

このシステムのカギになるのは店の天井にある、16台のカメラです。客が入ってくるとカメラが認識。番号を割り振って、動きを追います。
重量センサーで天ぷらの種類を特定

まずはそばの種類を選択。札を取るとシステムの管理画面にも表示が。さつまいも天を取ると、「かけそば 大 1個」の下に「ちくわ・さつまいも 1個」と追加で表示されました。

客が天ぷらに手を伸ばして取ったことはカメラで認識。どの天ぷらを取ったかは、トレーの下にある重量センサーで特定します。天ぷらの種類をカメラで判別しないのは、AIの画像認識の精度が十分でないためです。重量の変化で、商品を判別して、間違いを起きにくくしていました。
エラーが起きないよう、工夫を凝らす

しかし課題もありました。
サガミレストランツ業態開発事業部
阿曽部長:
「業態の特性上客が列に並ぶ。その中で、隣同士に並んだときに隣にいる人の前にある商品を取ってしまう。そういったときにエラーが起こってしまいます」

そこで、てんぷら什器には間仕切りを設置。客に正面からてんぷらを取ってもらえるように工夫しました。
この日は、てんぷらの認識精度をさらに上げる方法について、システムを提供する会社との会議です。課題が多い中、それでもレジの無人化を目指す理由は、人件費高騰も影響しています。

政府は2029年までに、最低賃金を全国平均で時給1500円にする目標を掲げています。これに基づいて試算すると、この店の860円の商品は1000円を超える見込みです。
サガミレストランツ業態開発事業部
阿曽部長:
「(レジ待ちの)ストレスは軽減されます。またスタッフも少なくて済むので、我々とお客さま、双方に効率化が進むのではないかと。他店舗への展開ができるレベルまで昇華させることが私のミッションでもありますし、グループの将来に大きく寄与します」

日本経済新聞社 名古屋支社
長尾伊紘記者:
「訪日外国人の増加で外国語での対応に追われ、回転率が下がる飲食店も見られます。レジの無人化で効率化することが、飲食店の課題解決にもなると思います」