
小学校低学年の下校に公用車を活用 通学距離2.5キロ以上の21人が対象 熱中症対策で掲げた町長の公約が実現 岐阜・川辺町

岐阜県川辺町は、7月から9月にかけて、町内の小学校低学年の児童を下校時に自宅近くまで送り届ける取り組みを開始します。
子どもたちの熱中症対策として実施するもので、対象となるのは、学校から自宅までの距離が約2.5キロ以上の、通学距離の範囲では遠方に住む小学1、2年生。町内にある3つの小学校に通う全524人の児童のうち、21人が該当します。

対象を1、2年生に限定した理由について、町の担当者は「体力面での負担が大きく、健康への影響が心配される学年を対象に、気温が上昇する時間帯である下校時のみとしました」としています。
実施期間は7月1日から18日と、8月29日から9月30日までの、夏休み前後にあたる特に暑さが厳しい時期に行われます。
マイクロバスなどの大型車両の調達が難しいことから、町の公用車と町議会議長車の2台を活用することになりました。
安全対策として、各学校に勤務する職員が添乗員として同乗する体制を整え、保護者から同意が得られた児童のみを送迎する方針です。

この取り組みは、今年4月に初当選を果たし5月に就任した木下宙(ひろし)町長が掲げた政策の一つ。その背景には、町内の見回りで地域の子どもたちの登下校に付き添っていたときに、小さな子どもが炎天下で水筒を空にして道端で動けなくなっている姿を目の当たりにしたという実体験がありました。
「子どもの命に直結する話で緊急性が高い」と考え、町長就任後、真っ先に取り組むべき課題として位置づけ、6月13日の町議会で運転手の委託に必要な104万円を含む補正予算案が可決されたことで、実現に向けて動き出しました。
運転手の委託先や具体的な送迎ルートについてはこれから決定する予定で、各学校の下校時間に合わせた運行になるということです。
保護者からは「汗だくでべたべたの状態で帰ってくる。熱中症の心配をしていたのでうれしい」「1、2年生だけでなく高学年も考慮してもらえるとありがたい」という声が寄せられています。
町は、今年度の実施状況を踏まえ、事業の継続や対象学年の拡大などについても検討していく方針です。
木下町長の掲げた公約が実現に向けて動き出す中、子どもたちの安全を守る取り組みとして、地域の注目が集まっています。