「犯人が見つかっても、佑基は戻ってこない」愛知・豊明市母子4人殺人事件の被害者の恩師が語る無念

豊明市で母子4人が何者かに殺害された事件は、未解決のまま9月9日で21年を迎えました。事件で亡くなった長男・佑基さんの当時の部活の顧問が取材に応えました。佑基さんと最後に交わしたやりとりなどを明かし、「犯人が見つかっても、佑基は戻ってこない」と無念さをにじませました。
沓掛中学校 小川実校長:
「指令台の横の椅子にいつも自分が座っていて、そこを通る時に声をかけた。『佑基、高校どこ行くだ』と。そしたら『〇〇高校で野球やりたい』と」
豊明市立・沓掛中学校の小川実校長が、21年前の佑基さんとの会話です。これが最後のやりとりになるとは思っていませんでした。
小川校長は事件当時、沓掛中学校で勤務。佑基さんがキャプテンを務めていた陸上部の顧問でした。今でも事件当日のことは鮮明に覚えています。
沓掛中学校 小川実校長:
「(午前)6時過ぎに学校に電話が鳴りまして、当時の教頭から『沓掛町の加藤さんの家が火事になって、本校生徒の可能性が高い』と。すぐ現場に駆け付けた。行った時には家が焼けていたので、もうその時は立ち尽くすしかなかった。(訃報を知り、学校で)子どもたちはみんな泣き崩れる感じでいたのを覚えている」
小川校長は当時、佑基さんが書いた陸上部の目標シートを今でも大切に保管しています。「感謝の気持ちを大切にする」、「今までの練習を信じる」。読むたびに、仲間思いで練習熱心だった佑基さんのことを思い出しては、悔しさをにじませます。
沓掛中学校 小川実校長:
「準備や片付け、整備を誰よりも早くやる。朝練も誰よりも早く来て準備していた子。後輩たちや仲間たちにそういう姿を見せていた。いつも思うが犯人が見つかったからと言って、佑基は戻ってこない。だからといって、見つかってほしくないわけじゃなくて。見つかって罪を償ってほしい。佑基がもし今生きていたら何をやっていたかなとか、そういうことは考えてしまう」
一度は離れた沓掛中に3年前、校長として戻ってきました。事件のことや佑基さんのことを、後輩である沓掛中の生徒たちに毎年、伝えています。
沓掛中学校 小川実校長:
「一生懸命頑張っていた子が自分の意思と関係なく殺されてしまった。命の大事さを後輩たち含めて伝えていくのが、僕にとっては必要で使命」