名物のタコが激減…漁師「死活問題」若手漁師が新たな名物生み出そうと「魚のブランド化」に挑戦 日間賀島

愛知県南知多町の日間賀島。タコ漁が有名で港にもタコつぼがびっしりです…
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(漁師・タコ漁)
「この5、6年(タコが)取れなくなったのは。去年はちょっと取れたけど、おととしは全然取れなかった。死活問題。タコだけではご飯が食べられないので、刺し網で魚取ってなんとか生きているけど…」
タコ漁を始めて12年のこの漁師は、多いときは仕掛けたタコつぼ25個のうち、24匹入っていたこともあったといいます。しかし今は、海水温の上昇などで、ほとんどとれなくなったと嘆きます。
(漁師・タコ漁)
「(来年や再来年は)どうなるかわからない。ゼロにはならないけど(漁獲量の)上がり下がりは激しいと思う」
窮地に立つ日間賀島。ここでも新たな名物を生み出そうという若手漁師が…
(漁師 北川琳都さん)
「爺ちゃんと父の後ろ姿を見て育って、小さいときから魚が好き」
北川琳都さん21歳、日間賀島で生まれ漁師の祖父と父親の背中を見て育ちました。この道、6年です。
(北川琳都さん)
「漁師になったとき、廃業寸前だった。魚が取れなくて経費が上がる一方で。船も新しく造らないといけなかった、エンジンが古かったので。『もうやってられないな』という状況を立て直したい思いで新しいことを始めた」
「魚のブランド化」に挑む!
北川さんが挑んでいるのが、「魚のブランド化」です。ここ数年、日間賀島周辺で捕れるようになったサワラの中でも、特に脂が乗ったものを「雪鰆」(ゆきざわら)として商標登録しました。旬は10月から年明けの1月まででインターネットで販売しています。
(北川琳都さん)
「どんどん島が衰退しているのが現状。自分の魚を通して日間賀島を知ってもらえるようにしたい」
この日の漁は父と2人で「イサキ」を狙います。いずれは「イサキ」もブランド化を考えています。
約900メートルの網を海底に沈めて魚をひっかけてとる刺し網漁です。
(北川琳都さん)
「きょうは全然だめ。網も汚れていたし、海がおかしい」
海の汚れで白い網が緑色に変色、網の存在を魚が気付き、とれないのだと言います。それでも網にかかったのは、高級魚のホウボウ。
この道45年以上の父親は…
(父 北川林さん 61歳)
「(昔と比べて)ホウボウは全然取れなくなった。(海は)昔と変わっている」
魚にストレスをかけないこだわりの方法
そして、お目当ての魚が…
(北川琳都さん)「これがイサキ」
この日は約8時間の漁でイサキは30匹ほど。すると北川さん、掃除機のような装置で一瞬で魚を絶命させストレスをかけずに処理します。このこだわりの方法で旨味をとじこめるのです。
(北川琳都さん)
「船上で締めて品質を守り、長く使ってもらえるように(している)」
漁の翌日。名古屋の飲食店には…
(池下料理店 オオツボ 店主 大坪憲三さん)
「こちら日間賀島のイサキ」
北川さんから仕入れたイサキです。店主の大坪さんはSNSで北川さんのことを知り、取引を続けています。
(池下料理店 オオツボ 店主 大坪憲三さん)
「地物って近いけど手に入りにくいので、いい方法がないかなと思ったときに北川さんと出会った」
「好きだもんで。魚とか漁師が日間賀島も」
ブランド化を検討中のイサキの味は…!
(村上真惟記者)
「脂がのっていて甘い。口の中でとろける」
(池下料理店 オオツボ 店主 大坪憲三さん)
「透明感がありつつ旨味が残っているので、他の(方法で処理された魚)とは違う」
海水温の上昇は漁師にとって死活問題。北川さん親子は。
(北川林さん)
「若い子の方が不安が大きいと思う。全然儲けにならないし」
(北川琳都さん)
「『どうやって漁師一本で飯食っていくんだ』と、よく喧嘩している。好きだもんで。魚とか漁師が日間賀島も大好き。世界一好き」
海の変化にもがく漁師たち。挑戦は続きます。