サラダドレッシングの「ピエトロ」 野菜高騰で売り上げ減少もスーパーとのパスタ共同開発に活路見い出す

サラダドレッシングでおなじみの「ピエトロ」が、スーパーとのパスタ開発に活路を見い出しています。パスタ専門店として生まれた「ピエトロ」だからこそできるパスタの共同開発を取材しました。

佐賀県を中心に展開するスーパーモリナガで人気の総菜「パスタ」。佐賀名物「シシリアンライス」をモチーフにしたこのパスタは、甘辛いひき肉と野菜の風味が食欲をそそります。このパスタを監修したのは、全国的にドレッシングで知られる「ピエトロ」です。
ピエトロの技術を活かした共同開発

もともと「ピエトロ」は福岡市で生まれたパスタ専門店でした。同社のドレッシング事業の年間販売額は約50億円。全体の半分ほどを占める主力事業ですが、野菜価格高騰などにより2024年度上期(4~9月)の販売額は前の年度に比べ2パーセント減りました。

そんな中、ピエトロが目を付けたのがドレッシングの販路を生かしてスーパーでパスタを売っていく仕掛けづくりでした。
40年以上も蓄積されたノウハウを活かし、盛り付けや調理オペレーションの効率化を実現しています。麺は工場である程度調理。現場で茹でる必要がないため、品質のばらつきを抑えています。
パスタ総菜の新たな展開

スーパーモリナガは、ピエトロのアドバイスからほうれん草を細切りに。トマトをサイコロ状にカットするなど、見栄えや味を工夫しています。盛り付けは野菜やひき肉をのせるだけで、客が電子レンジで温めるだけでレストランの食感を楽しめます。
“コンビニ独壇場“からスーパーへ

ピエトロの技術を生かした共同開発は、スーパー側にとっても利点が多く、初期投資もほぼゼロです。ピエトロは麺やソースに監修料を上乗せしてスーパーに卸しています。
日本経済新聞社 堀田真優音記者:
「パスタ総菜はこれまでコンビニの独壇場でした。そんななかピエトロの技術を生かしたこの共同開発は、追加投資も不要で、スーパー側に取っての利点も大きいです。パスタ総菜づくりの駆け込み寺のようになっていくのではないでしょうか」

この日、ピエトロ本社ではスーパーとの新商品開発のための会議が開かれていました。「サラダパスタ」の提案がありましたが、「忙しい朝の仕込み作業を簡単にしてほしい」との要望が。課題が提示され、前日にどこまでの仕込みが可能か、調理工程を再検討することになりました。
ピエトロ 松永大伸さん:
「極力前日の夕方に仕込みをして、翌日盛り付けるだけの組み立てができればと考えています」
全国展開を目指すピエトロ

パスタの共同開発は地場のスーパーなど20道府県、約400店舗で実施されてきました。これからはドレッシングで広げた販路を活かし、さらなる展開を目指しています。

ピエトロ デリカ・フードサービス事業
江島 豊部長:
「スーパーモリナガに関しても食品のドレッシングの担当のバイヤーから紹介してもらって、総菜のバイヤーとつながりました。少しずつ話をさせていただきながら展開して、年間で20~24万食をめどに1年ずつ増やしていきたいです」