
約3年前に“採用数ゼロ”で一念発起…建設業界のイメージ打破図る老舗企業 変化アピールし「全体の盛り上げを」


人手不足と高齢化が課題となっている建設業界で、若手の確保に向けた動きが加速しています。岐阜県川辺町に本社を置く「佐伯綜合建設」は、デジタル技術の活用や資格支援など、時代に合わせた働き方改革を進めています。
■採用数がゼロになった過去
6月21日、建設業の就職説明会が名古屋で行われました。

佐伯綜合建設の佐伯佳優取締役: 「うちの会社は過去5年の離職率が0%です。『うちの会社はめっちゃ良い会社やで』と言いたい」 離職率や初任給などで「働きやすさ」をPRするのは、岐阜県川辺町に本社を置く佐伯綜合建設です。創業70年の歴史ある会社ですが、およそ3年前、あるピンチがあったといいます。 佐伯取締役: 「採用数が0になってしまった。正直、時代の流れについていけてなかった」

日本建設業連合会によると、建設業の就業者数は1997年の685万人をピークに、2024年は477万人まで減少していて、人材難と高齢化が課題となっています。
■1級建築士に合格で150万円…デジタルも駆使
愛知県大口町の工場の建設現場では、入社2年目の伊藤遼祐さん(23)が現場監督を務めています。

経験が浅くても作業をスムーズにするのが、建物の3Dデジタルモデルを活用し、設計や施工などの情報をデータで管理する「BIM」です。2014年に導入すると、業務効率が上がり、労働時間の削減にも繋がったといいます。 また、今も現場で求められる職人とのコミュニケーションにも、時代の変化が…。 43歳の職人: 「昔はどうしても怖い人が多かったので、監督さんが一歩引いてしまう部分があったんですけど、昨今時代が変わりまして、職人の方が監督さんに向き合う形が取れているんじゃないかなと現場で思います」 伊藤さん: 「最後に建物が完成した時は『自分で管理して作ったんだな』という達成感があると思う。職人さんとのコミュニケーションだったり、人と話すことが好きだったりすると、すごく楽しい仕事になるかなと思います」

さらに2025年からは、新入社員は業務時間内に1級建築士の試験勉強ができ、合格すると150万円が支給されます。 佐伯取締役: 「受験要件がかなり緩和されたので、早めに取ってほしいのと、3~4カ月現場に入るのが遅れますけど、資格がない方がキャリアのことを考えるとかなりマイナスになってしまうので」 若手社員でも働きやすい環境作りや、SNSでの採用活動など、人材確保はもちろん大切ですが、業界全体への思いもありました。 佐伯取締役: 「5年後、10年後見たときに、公共のインフラとかもこのままいくと人が足りなくて手が回らなくなる。『建設業界って実はこんなに変わっているんだよ』『色々やっている企業さんがたくさんあるよ』としっかり伝われば、建設業界全体が盛り上がるかなと思っています」