
「0%だったのが10%→25%となると…」“トランプ関税”で抹茶の輸出業者から悲鳴 米国が世界的なブームを牽引


アメリカのトランプ大統領は、日本からの全ての輸入品に25%の関税を8月1日からかけると表明しました。和食ブームでアメリカへの輸出が伸びる中、東海地方の食品メーカーにも波紋が広がっています。
■前回を1%上回る「25%」関税の行方は
アメリカのトランプ大統領は「相互関税」を名目に、各国に対して高い関税を課すことを打ち出しています。 7月8日、SNSで公開した日本に向けた書簡には、「2025年8月1日より、個別の分野ごとの関税とは別に、アメリカに送られる全ての日本製品に対して25%の関税を課すこととします」と書かれていました。 2025年4月に発表された相互関税は一律関税と合わせて24%でしたが、今回示されたのは、それを1%上回りました。
■“抹茶ブーム”で盛り上がっていたところに…広がる不安
愛知県豊田市の「いしかわ製茶」では、ドーム球場ほどの広さの畑で茶葉を栽培しています。7月9日、アメリカに向けた抹茶の発送作業に追われていました。

いしかわ製茶の石川龍樹代表: 「抹茶人気は今、世界的に大ブームなんですけど、それをけん引しているのはアメリカなので」 今、世界的に抹茶ブームが起きていて、いしかわ製茶でも生産量のおよそ5%をアメリカに輸出しています。代表の石川さんは、トランプ関税での買い控えを心配しています。 石川代表: 「今まではお茶って0%だったんですよ。それが10%になり、昨日発表があった25%、なので単純に4分の1値段が上がってしまう。せっかくアメリカ向けの抹茶が好調なところにブレーキがかかってしまうんじゃないかという心配はしています」
■影響は「大豆」にも 売上が2割~3割落ちる試算
三重県四日市市の食品メーカー「ミナミ産業」では、豆乳や大豆パウダー入りのパンケーキミックスなどをアメリカに輸出しています。

アメリカや香港に輸出予定だという「大豆まるごと豆腐」。長期保存を可能にした独自の技術で作られています。 ミナミ産業の南川勤社長: 「海外はフードロスやフードウェイストのことを非常に環境意識のことを気にされるので」 ミナミ産業では、輸出全体のおよそ半分がアメリカで、売り上げでは2割ほどを占めていると言います。 7月9日に開かれた社内会議での話題は、もちろん「トランプ関税」についてです。 南川社長: 「例のトランプ関税が発表されて。どういう商品を今回推すか、もう一回打ち合わせしたい。関税がかかってくると非常に厳しくなってくるよね、加工度が低いやつは」 社員: 「そうですね。元々アメリカも大豆はたくさん生産しているので」

2025年9月にアメリカで開催される食の展示会で、当初はこがし醤油やキムチなど様々な味のおかず大豆をサンプルとして配ってPRする予定でしたが、見直しの検討がされていました。 南川社長: 「20~30%、今の売り上げが落ちるんじゃないかと思っているものですから。代替市場、アメリカに代わる市場にどんどん力を入れていくこともやらなきゃいけないなと」 また、政府には一刻も早い対応を求めていました。 南川社長: 「この25%はかなりインパクトがあるんですね。大きな市場ですし、アメリカとはうまく付き合っていっていただきたいものですから、政府間の交渉をなるべく早く、うまくどこかで折り合いをつけていただきたいなと思っています」 期限の8月1日が変更される可能性について問われたトランプ大統領は「確定といってもいいだろうが100%確定ではない」と含みをもたせたものの、一夜明けた後はSNSで「この日付に変更はない」とコメントしました。 あと20日あまりに迫った関税を巡る交渉の期限、どう決着がつくのでしょうか。