来年2月末で解体される「名鉄ホール」 最後に劇場を公開 当時の台本やパンフレットも…元担当者は涙

来年2月末で閉店する名鉄百貨店。この中にはかつて「名鉄ホール」という劇場がありました。解体されるのを前に、18日にカメラが潜入しました。
924の客席に、舞台からはお客さんの顔が見渡しやすい、すり鉢状の空間。
かつて御園座・中日劇場と並び、“名古屋3大劇場”と呼ばれた名鉄ホールです。
「うちで見ると、ものすごく近く見られるので、わざわざ東京大阪から舞台を見に来る人もたくさんいた」(元名鉄ホール 企画宣伝担当 柴山恵美さん)
老朽化が進み、2015年に閉館

今から70年近く前の1957年(昭和32年)に開業、こけら落としは宝塚歌劇団・星組の公演でした。
名古屋の昭和・平成の劇場文化を彩ったホールでしたが、照明や音響、舞台装置などの老朽化が進み、2015年に閉館しました。
メ~テレに残る名鉄ホールの一番古い映像に映る、俳優たちが過ごした楽屋は今も残っています。
舞台の下も、当時のままです。
「ここが先ほどの舞台の下の『奈落』と言われる場所」(柴山さん)
役者が登場する「せりあがり」。ここには芝居の名残が。
「ここを見ると、花吹雪が落ちている。体についた花吹雪が、ぱらぱらとこのあたりに残って落ちている」(柴山さん)
役者と“裏方”の交流も

当時の台本やパンフレットも多く残っています。
長いと、1カ月にわたる公演。
役者と“裏方”の交流もあったといいます。
「座長が『照明が良い光を当ててくれたから、自然な動きでお芝居をできた』と、スタッフに宛てた感謝状」(柴山さん)
解体前に報道公開した理由は?

来年2月末の名鉄百貨店の営業終了後に解体される、名鉄ホール。
再開発後の建物には、現時点でホールが戻ってくる計画はありません。
18日に案内してくれた柴山さんは、名鉄ホールで働くために名鉄百貨店に入社。
閉館を見届けました。
「劇場を出るお客様の顔がパッと明るくなって『また明日から頑張ろう』という気持ちで帰ってもらう。そのお手伝いをするのが、劇場なのかなと思って務めてきた」(柴山さん)
取り壊し前の現在の様子を、報道公開した理由は。
「来場されたお客さまもそうだが、本当にこの劇場を支えてくださったスタッフがいっぱいいて、そういう方々に(映像を通して)もう一度最後に、この劇場を見てほしい。寂しいですね」(柴山さん)





