
「岡崎市」は愛知県西部?東部?発表は間違いなのでは…とSNSに書き込み 地震から命を守る必須知識


8月18日の夜、愛知県と岐阜県で最大震度2の地震が2回ありました。私はその日、メ~テレ報道センターの泊まり勤務で、報道フロアにいました。
午後11時12分ごろの2回目の揺れは、「おや、揺れたかな?」と思うと、近くにいたアナウンサーをはじめ複数のスタッフも揺れを感じたとのこと。
この地震の震源は愛知県西部。名古屋は震度1で、「軽く突き上げるような感じがした」「小さな横揺れがした」などとスタッフが話していました。WEBに地震の記事を配信してSNSをチェックしていると、次のような書き込みを見かけました。
「愛知県西部で地震って書いてあるけど場所的に東部じゃね?」
「岡崎市の東の端っこの端っこが震源地だからどう見ても(愛知県の)東側」
翌日の19日には視聴者の方からも「画像の震源地のバツマークが『東部』じゃないかなと思います」との意見がメ~テレに寄せられました。
地震速報画面の赤いバツ印が震源を示しています。確かに、その位置は愛知県の中央よりも東寄りです。
「尾張」は西部、「三河」は東部

愛知県民の一般的な感覚としては、織田信長や豊臣秀吉がいた尾張地方は愛知県の西部。徳川家康がいた三河地方は愛知県の東部です。
「岡崎市は愛知県の西部、東部のどっち?」と聞くと迷わず「東部」と答える人も多いです。なぜなら、地理的に愛知県の東側に位置しているからです。この感覚は間違ってはいません。
しかし、今回の地震では、震源地が愛知県岡崎市内であったにもかかわらず、震源地は「愛知県西部」でした。多くの方が疑問に思いSNSなどで発信したわけです。
愛知県には54の市町村がありますが、そのうち「愛知東部」はなんと…。
気象庁が発表する「地震情報」「気象情報」では、東部と西部の境界は下の地図のようになっています。地震情報で「愛知県東部」とされるのは以下の市町村です。
【愛知県東部】豊橋市、豊川市、蒲郡市、新城市、田原市、設楽町、東栄町、豊根村
愛知県の54市町村のうち、「愛知県東部」は8市町村のみです。驚いたという人も多いのではないでしょうか。岡崎市は気象庁の区分では「愛知県西部」なんです。
話はさらに複雑になります。
愛知県西部と愛知県東部の境界は、天気予報や警報など「気象情報」を発表する場合は、微妙に変わります。豊田市が西部(平地)と東部(山地)に分かれるのです。
愛知県東部の地域は、比較的標高の高い地域が多いです。標高の高い地域と低い地域は気候が違うので、気象庁は気候的な観点から「愛知県東部」と「愛知県西部」の境界を設けているのです。
南海トラフ地震に備えるために
愛知県と三重県の一部は将来起きるとされる「南海トラフ地震」の震源域内です。また、愛知県内では1945年に「三河地震」という大地震も起きています。
地震が起きるたびに気象庁は地震の震源地を発表します。地震発生後、その震源を素早く理解することはとても重要です。
気象庁が示す愛知県の「東部」と「西部」の境界をしっかりと理解しておくことは、自分自身の命を守るためにとても重要なことだと考えます。
(メ~テレ 報道センター災害担当デスク・気象予報士 柴田正登志)