
ハチには“人間の弱点”を狙う遺伝的プログラムが… 秋に狂暴化するスズメバチ 巣の中には1000匹以上いる時も 体は小さくても超危険な「キイロスズメバチ」

この時期が1年で最も狂暴化するという「スズメバチ」。中でも一番危険だと言われているのが「キイロスズメバチ」です。
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なぜこの時期のスズメバチは狂暴なのか。その理由を探るべく、スズメバチ駆除のプロに密着しました。
今回密着するのは、東海地方を中心に害虫などの駆除を行っている「アローズ東海」。スズメバチは、これまで約4000個もの巣を除去してきました。
9月22日、スズメバチの駆除依頼をうけて向かったのは、愛知県春日井市の閑静な住宅街にある1軒のお宅。到着してすぐ、庭先にある一本のツツジへ。そこには…
(アローズ東海 加藤淳一さん)
「めっちゃ出てきている。巣穴の周りにガサガサすごい」
カメラを近づけた瞬間…襲いかかる
正体は、コガタスズメバチ。
名前に「コガタ」と付いていますが、スズメバチの中でも大きい部類なんです。毒性も強いとのこと。駆除の依頼者に聞くと…
(駆除の依頼者)
「スズメバチはことしになって2回目」
なんとこちらのお宅、巣ができたのはことし2回目。
しかも、小学生も使う生活道路から生け垣を挟んだ1.5メートルの距離に。
(近所の小学生)
「この前スズメバチの死骸があった」
(アローズ東海 加藤さん)
「刺されないように今から駆除するね」
さっそく防護服を身にまとい、巣があるツツジの木へ。
(アローズ 木月啓仁さん)
「ちょっと枝切ろうかな」
スズメバチの巣は、直径20センチほど、取り除くには枝が邪魔で手が届きません。
そこで、巣への刺激を覚悟で枝を切ることに!
その様子を撮影しようと、CBCのスタッフが巣にカメラを近づけた瞬間…一斉に巣を飛び出し襲いかかってきました。
「スズメバチにとって恐ろしい天敵は人」
(木月さん)
「カメラを敵だと思って、針だして刺している」
カメラが攻撃の対象に。これは、スズメバチ駆除ではよく見る場面。カメラが黒くて、スズメバチは黒を攻撃するからと言われていますが、なぜスズメバチは「黒」を攻撃するのか。
スズメバチの生態を40年以上研究している、玉川大学の小野教授によると…
(玉川大学 学術研究所 所長・小野正人教授)
「スズメバチにとって恐ろしい天敵は人。 首から上が弱点だから髪の毛や目など黒い所を狙えば、敵を撃退することができる。遺伝的なプログラムが組み込まれている。黒いカメラとか光るレンズとかに毒針が突き立てられる」
天敵の人間の弱点が、頭や目の黒い部分だと知っているから、巣を刺激されて黒を発見すると攻撃してくるそう。
(小野教授)
「この時期、巣の大きさが最も大きくなっている。つまり、働きバチの数がマックス」
今は“新女王バチ”が育つ時期
では、直径20センチほどの巣に、どれほどのスズメバチがいるのか。
小型カメラで撮影してみると…カメラがとらえただだけでも23匹。
(小野教授)
「巣の中ではたくさんの働きバチが、来年の女王になるハチを育てている。働きバチの警戒が高まっている」
“新女王バチ”が育つ時期なので警戒心が強く、攻撃的に。危険度が最も高いそうです。
巣の状態がわかったところで、さっそく駆除を開始。一気に薬剤を噴射します。すると…
(木月さん)
「薬が効いている」
巣の周りにウヨウヨいたコガタスズメバチが、あっという間に駆除されました。そして…直径約20センチの巣は、無事に取り除かれました。
(依頼者)
「わっ!すげー」
(木月さん)
「幼虫。これがまだスズメバチになる」
巣の中には幼虫がウジャウジャと…
そして、同じく春日井市にある別のお宅でも…サザンカの木の下にスズメバチの巣が。
(依頼者)
「ここで草をとっていた。ハチが1匹飛んでおかしいなと思ってのぞいたら、穴が見えた。何十年も住んでいるけどスズメバチは初めて」
(木月さん)
「おるね。コガタスズメバチ」
巣穴から顔を出して、警戒しています。薬剤で一気にスズメバチを撃退。
(木月さん)
「OK、取れた」
約20センチほどの巣は、何事もなく除去されました!
(依頼者)「まあ!すごい!良かった 取ってもらって」
(木月さん)「白い幼虫が動いている。まだまだ数が増える感じだった」
50㎝オーバーの超巨大なハチの巣も…
別の日、岐阜県関ケ原町にあるお宅からの依頼。スズメバチの巣は、2階の軒にあるといいます。確認してみると…
(木月さん)「でかい!」
なんと50センチ以上はありそうな巣が。しかも、スズメバチの中でも一番危険と言われている「キイロスズメバチ」。
小野教授によると…
(小野教授)
「体のサイズは小さいけど1つの巣にいる働きバチの数が最も多い。大きな巣だと1000匹を超える。攻撃性も非常に高い。ちょっと巣を刺激しただけで吹き出してくる」
キイロスズメバチは、働きバチの数が最も多くて、かさにかかって攻撃してくるので危険なんだそうです。
(依頼者・松井さん)
「大昔に同じ場所に作った跡が残っている」
(木月さん)
「過去にキイロスズメバチが巣を作っている。周りが山でエサが豊富。人もあまり来ないので環境として整っている」
巣までの高さ約8メートル。さらに、相手は狂暴なキイロスズメバチで、困難な駆除作業かと思いきや…
「立派すぎる…」中には500~600匹ほどのハチが?
4000個の巣を取り除いてきたプロの作業。一気にキイロスズメバチを制圧。
15分程度で、50センチ以上もある巣を取り除いてしまいました。
(木月さん)
「立派すぎる。キイロスズメバチの巣はでかい」
(依頼者・松井さん)
「こんなのが屋根についていたと思うと、寒気がする」
(木月さん)
「巣の中に500~600匹はいる」
(小野教授)
「スズメバチが大きな巣を作って、巣の中でたくさん幼虫が育っているということは、それだけたくさんのイモムシ・ケムシなどいろいろな害虫を食べているから益虫。だけど、人間の生活に入り込んだものは駆除しないといけない。生き残った新しい女王バチが住宅地で巣を作り始めて、社会を騒がせるのはやむを得ないことかなと思う」
人間を脅かすスズメバチとの闘いは、果てしなく続くのか…
(CBCテレビ「チャント! 」2025年10月19日放送より)





