学校から“水しぶきの音”が消える!? 公立小は民間プールで 公立中は座学のみ 教育委員会「まずは熱中症が心配」 愛知・大府市

学校の“夏の風景”に変化が。プールの実技指導を校内で行わず、スポーツクラブなどを利用する学校や、そもそも実技指導をやめる学校が増えています。
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(前川智彦記者 大府小学校 午後1時頃)
「大府市の小中学校では校内でプールの授業はありません。こちらのプールには水がはられておらず、解体工事が始まろうとしています」
教育委員会「まずは熱中症が心配」
愛知県大府市内の公立小学校9校では、校内でのプール授業を7年前から段階的に廃止。また公立中学校4校は、去年から廃止しました。その理由は?
(大府市教育委員会 倉永直樹主席指導主事)
「まずは昨今の大変暑い気象状況で、熱中症が心配されるということ」
きょう午後1時すぎ。記者がプールサイドを歩いてみると…
(前川記者)「足の裏を全部付けられないほどの熱さです。子どもたちにはとても危険な温度です。熱い!」
小学校は民間プールで授業 中学校は座学のみ
また、プールサイドではひび割れなど老朽化も進行。仮に新たなプールを建設するとなると、1校につき億単位の費用がかかります。このため大府市の方針として、基本的に、いまある校内のプールは取り壊して駐車場やスケートボード場などにしていくといいます。ただ、完全にプールの授業をなくすわけではありません。
(大府市教育委員会 倉永直樹主席指導主事)
「小学校は外部の民間プールにお願いをして、インストラクターから専門的な実技を教えてもらう。苦手な子も楽しく、さらにうまくなりたい子も伸びていくようにしている」
一方、中学校はカリキュラムの都合上、民間のプールに移動する時間をとるのが難しく、去年から授業は水の事故にあわないための座学のみに。
(大府市教育委員会 倉永直樹主席指導主事)
「教科書を使ったり、各学校の体育の先生が工夫して動画を使い、子どもたちの学びが深まるように工夫しています」
民間利用について大府市民「時代の流れ」
それでも、生徒たちが水泳に親しむ機会を確保しようと、市は夏休み期間に、スポーツクラブの水泳教室に1人3回まで無料で通えるようにしたり、公営プールを無料で使えるチケットも配布しています。
この民間利用について、大府市民は。
(小6の子どもの母親)
「この暑さで普通に外を歩くのも大変。仕方がない。時代の流れかな」
(小3、小1の子どもの父親)
「少人数(の教員)で大勢の子どもを見るよりは、専門の人に見てもらえて事故(防止)の面で安心」
愛知県と名古屋市によりますと、ことしプールの授業に民間を利用する公立中学校は、去年より130校増えて約150校に。公立小学校では100校増えて約310校になる見込みです。学校から水しぶきの音が完全に消える日が近いのかもしれません。