“インフラが危ない”早急に補修「必要」な橋は愛知県内に936橋 人手不足で4割は工事できず遅れる補修

2025年1月、埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故は老朽化に伴う下水道管の破損が原因とみられています。今、橋やトンネルなど全国のあらゆるインフラ設備の老朽化が大きな社会課題となっています。国土交通省によりますと、橋やトンネルなどインフラ設備の多くは高度経済成長期の前後に建設されています。老朽化が招く事故を防ぐため、インフラ設備の補修が今、急務となっています。
建設から50年以上経つ橋の割合 2040年には75%

設備ごとに建設から50年以上経過する割合を示したグラフです。あくまで目安ですが、インフラ設備の寿命は一般的に「50年」と言われていて、50年を超えると損傷の頻度が高くなることが指摘されています。たとえば、道路橋(=橋)は建設から50年以上の割合は2023年は約37%、2030年は54%、2040年には75%に。またトンネルや水道管路もこの先、建設から50年以上になるものがどんどん増えていくことが分かります。
「亀裂が入る橋」老朽化するインフラ設備の現実

愛知県名古屋市緑区にある天白扇川橋です。橋の下へ行くと…
中部地方整備局 大島常生センター長:
「道路の床になる床版と言われる部分にこのようにヒビが入っている。ヒビの入っているところをチョークで印を付けている。縦横に亀裂が入っている」
この橋は完成から56年が経過しています。そのため、橋の裏側部分がひび割れするなど老朽化しているのが目立ちます。
老朽化した橋はほかにもあります。天白扇川橋から車で約15分の場所にある港区の港新橋です。この橋は完成から61年が経過しています。
中部地方整備局 大島常生センター長:
「さびが進行して本来ある鉄の厚みが欠損していくような状態。これがさらに進行していくと、亀裂が入り穴が空く」
こうした老朽化が招く事故を防ぐために大切なのが…
中部地方整備局 大島常生センター長:
「メンテナンス。点検をして診断をして措置をする」
インフラの補修作業にも「人手不足問題」が

2014年度から国や地方自治体などの道路管理者は、橋やトンネルなどを5年に1度、間近で点検することが義務づけられています。2019年度から2023年度に行われた点検では、愛知県内の橋で早急に補修が「必要」と判定されたのは936橋ありました。しかしそのうちの約4割は2023年度末までに補修することができませんでした。なぜ補修が追いつかないのでしょうか。
中部地方整備局 大島常生センター長:
「人手不足の問題。特に小規模な市町村では事務職の方々が道路メンテナンスに関わる部署について定期点検の業務に従事している」
地方自治体では、橋やトンネルの点検や補修を担う技術系職員の数が減っています。技術系職員ではない職員が研修などを受けて、点検、補修などを担うこともあります。
中部地方整備局 大島常生センター長:
「何とか回している。そういったところ(自治体)は対策ができずに(橋の)通行止めを実施しているのが実情」
老朽化により補修が必要な橋などの数は増えていくことが予想されますが、職員の数は足りない。今後さらに通行止めなどの対策をせざるを得ない橋なども出てくると危惧しています。

最近は、ドローンなどを活用した橋の点検を取り入れている自治体もありますが、補修は追いついていないのが現状です。
中部地方整備局 大島常生センター長:
「(橋などのインフラが)高齢化していくのは分かっているので、老朽化に対して先手先手を打ちながら、道路の安全安心を届けられるように日々、メンテナンスをしていきたい」