85歳で完済も 住宅高騰で長期ローン「フラット50」が人気 メリットとデメリットを調査

住宅を購入する際、選ぶ住宅ローンといえば35年以内で契約して、定年退職するタイミングで返済を完了するという方が多かったと思います。今、住宅の価格が高騰している影響からか、35年以上の長期のローンを組み人が増えています。
長期ローンを組み場合のデメリットとメリットについて専門家に取材しました。
50年以内の返済期間を設定、全体の2割以上に

住宅金融支援機構によりますと、一般的な30~35年以内で返済期間を設定している人はほぼ半数です。一方で、35年を超えて50年以内の返済期間を設定している人は少しずつ増えていて、全体の2割を超えました。
なぜなら、住宅価格の高騰が影響しているからです。

全国の新築マンションの価格の平均は、資材費高騰などが影響で8年連続上昇しています。2024年の平均価格は1戸当たり6082万円。10年前となる2014年の全国平均は4306万円だったので、1500万円以上も上がっています。(※株式会社不動産経済研究所調べ)
返済額を抑え、教育資金や資産運用に回す

住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」の塩澤崇さんによりますと、住宅価格が高騰している今、月々の返済額を抑えるため50年ローンを組む人が増えてきているのではないかということなんです。塩澤さんは「超長期の住宅ローンは、返済額が抑えられるので、浮いた分を教育資金や貯金、資産運用などに回すことができる」とそのメリットを指摘しています。

仮に名古屋の都心部で7000万円のマンションを購入しようと思った場合、固定金利で借りる場合は35年ローンならば、利率1.9%で計算すると返済総額は約9600万円です。
利息分で2600万円。では50年ローン、利率2.07%で計算すると約1億1200万円です。約1800万円もアップしてしまいます。12月中旬に開催される金融政策決定会合で、日銀は利上げを検討しています。利上げされた場合、さらに住宅ローンの利率がアップして、支払総額が増える可能性がありますよね。
年金を受給しながら、住宅ローンを払うことになる可能性も

支払い総額が増えることに注意を促す専門家もいます。ファイナンシャルプラットフォーム株式会社の高橋成壽さんです。
従来の35年ローンは、退職金を住宅ローンの残高に充てて完済したりローンが完済できるような物件に住み替えたり、年金受給前に住宅ローンを完済する人が大半です。しかし、この50年ローンは金融機関や個々の状況によって異なりますが、完済時の年齢が75歳から、中には85歳まで借りることができるものもあります。
超長期がゆえに元本が思ったよりも減らず、退職金で完済するつもりができなかったり、住み替え時に住宅の価値が下落してローンが残ってしまったり。そうなると、年金を受給しながら住宅ローンを払わなくてはいけないという可能性も出てきます。

高橋さんによりますと「数十年後は超長期ローンを契約したことによる、高齢者のローン破綻が社会問題になる可能性もゼロではない」と話します。そうならないためにも、将来の資産運用計画や他行との金利差の比較などより、丁寧にする必要があるということなんです。

高橋さんも塩澤さんも口を揃えていたのは、超長期のローンは怖いからといって無条件で選択肢から外すのではなく、不動産物件が高騰し続けている今、「メリット・デメリットや自身の資産状況をしっかりと把握し、選択肢を広げる」こと。そのうえでどれくらいの期間で返済するか決めればよいのでは、と話していました。





