
「価格はバブル」海苔に値上げの波 きっかけは主要産地の不作 “海苔離れ”に危機感

食卓に欠かせない海苔にも値上げの波が押し寄せています。きっかけは主要な産地の不作。この地方でとれる海苔の価格にも異変が起きていました。

岐阜県高山市の宮川朝市。
朝早くからにぎわいをみせる中、たくさんの人が訪れていたのが――
「おにぎり店」です。
こちらのお店は、土鍋で炊いたごはんが特徴で、朝から観光客があたたか~いおにぎりを食べる姿が。
「おいしかったです。普段自分で作るのとは全然違ってふっくらとしていた」(埼玉から)
「おいしいです。きのうも来て、きょうもまた来た」(タイから)
「とてもおいしいです!」(中国から)
「おいしい!」(タイから)
海苔の仕入れ価格は創業時と比べ1.5倍に

人気の具材は飛騨牛のしぐれや、ネギ味噌。
ただ、味わいに欠かせないのが「海苔」です。
現在は、九州・有明産の高級海苔を使用しているといいますが――
「海苔の値上がりもコメまではいかずとも、かなり値上がってきているので、(経営を)圧迫している状況」(日々是好日 オーナー 池田至孝さん)
海苔の仕入れ価格は、創業した4年前と比べて1.5倍ほどになっているといいます。
「いろいろ試して安い海苔を使ったら、こんなに味が違うのかというくらい違ったので、おいしい海苔を使おうということで、おいしい海苔を使っています。なんとかするしかないかな、耐えるしかない」(池田さん)
「ここ数年はバブル」

異変は全国有数の海苔の産地、愛知県にも――
各地の漁場から届いた今年の「新海苔」の数は、約1300万枚!
去年の6倍もの量がそろいました。
ただ、プロたちが口をそろえたのは――
「異常だと思う。高すぎるので、客がこの値段についてきてない」(海苔業者)
「ここ数年はバブル、異常な価格の上がり方をしている」(海苔業者)
漁連や漁協が販売する海苔の平均単価は、1枚あたり昨年度が24.13円。
4年前の約2.3倍です。
価格高騰の要因は?

「非常に我々販売業者は、危機感を持っている」(永井海苔 久田和彦社長)
海苔の高騰に危機感をあらわにしたのは、豊橋市の老舗海苔メーカー「永井海苔」の久田社長です。
「お手頃な価格で買ってもらうのが海苔。おにぎりに使われるが一番多いと思う。海苔が高いと海苔のないおにぎりが作られてしまう。そこは非常に残念」(久田社長)
価格高騰の要因は、何なのでしょうか。
「一番の大生産地の有明海が不作、この影響がかなり大きい。一時より10億枚以上減産」(久田社長)
ここ数年、海水温の上昇や海の栄養素の不足によって海苔の成長が妨げられ、主要な産地を中心に深刻な不作状態が続きました。
今年の「愛知の海苔」のできばえは?

今年の「愛知の海苔」のできばえについて、県内トップクラスの生産量を誇る常滑市の鬼崎漁協に聞きました。
「今年は好調。栄養塩もあって順調、いい海苔も取れている。いい相場になれば」(鬼崎漁業協同組合 販売課 鈴木康浩さん)
8日の初競りで入札された“初物海苔”。
出荷枚数が増えたこともあり、価格は去年と比べ下がりましたが、1枚あたりの平均単価は37.26円と過去2番目の高値となりました。
「いろんな漁協が頑張った結果、そこはいいことかと思う。うちも過去一番の水揚げになるかもしれない。いい海苔をたくさん消費者の方にお届けしたい」(鈴木さん)





