ご当地映画トラブル長期化か 岐阜・関市の補助金2000万円返還確認できず 制作側「返す根拠ない」

岐阜県関市のご当地映画の補助金をめぐるトラブル。返還期限の15日を迎えましたが、どうなったのでしょうか。
「補助金返還に向けて動いていきたい」(3月21日、岐阜県関市 山下清司 市長)
「全額返す根拠がない」(4月4日、錦見輔 弁護士)
「地元を盛り上げたい」という共通の思いとは裏腹に、真っ向から対立する形となりました。
映画「名もなき池」は、観光客の呼び込みなどを目指す岐阜県関市が2023年に作品を公募。兵庫県の企画会社「IROHA STANDARD(イロハスタンダード)」が制作し、市が計2000万円の補助金を出しました。
「モネの池」としても知られる関市内の池などでロケがあり、制作発表会も行われましたが…。
「よもやこんなトラブルになるなんてことは想定しておりませんでした」(3月21日、山下市長)
関市は補助金交付の条件として「今年3月末までに複数の映画館で4週間以上上映する」などとしていましたが、制作側から上映について明確な報告などがないことから、3月27日、補助金の全額返還を求めました。
しかし、請求の翌日には映画は封切り。ただ上映の場所として選ばれたのは関市から遠く離れた淡路島と愛媛県の2館でした。
「しゃべっている内容とワンテンポずれて音が聞こえるシーンもあった」(映画を見た人)
Q.映画で関市の魅力は伝わる?
「この映画では伝わらないかな」(映画を見た人)
上映中の映画館によると、観客はいない日もあるものの、多い日には10人ほど。関市から訪れる人や、地域おこしで映画を作っている当事者の人なども見に来ているといいます。
制作側「条件は満たしている」

そして4月4日には、映画を製作した監督らが弁護士とともに会見。返還の考えがないことを表明しました。
「(はじめに)海外に持っていって、海外の方に評価していただいて、すごいところがあるんだっていうのを見てもらって、それを皆さんに評価していただきたいと思っていました」(「シン・ベートーヴェン」こと 新原光晴 監督)
海外公開を先行するため、3月末までの国内上映は約束できないと当初に説明。また3月下旬に公開を始めたので、条件は満たしていると強調しました。
「最終的に『あっなんだ よかったな実は』と思ってもらえるようなところに着地できるようになったらいいなと」(新原監督)
関市のご当地映画を巡り、長引いているトラブル。市民はどのように感じているのでしょうか。
「PRになっているかもしれない、悪い意味で。皆さんが納めた税金なので大切に使ってほしいなとは思います」(40代の関市民)
Q.これまでの市の対応については?
「ちょっと中途半端でしたね。間際になってこういう騒動になるということは。うやむやにはなってほしくないですね、僕たちとしては」(60代の関市民)
関市長「入金確認できず」

補助金の返還は通知から20日以内となっていて、15日がその最終日。補助金は返還されていたのでしょうか。
「15日午後4時時点で担当から入金の確認ができていないと報告を受けています。1~2日余裕をもって確認して、それで入金がなければ次の手で、我々としては督促を出すことになる」(山下市長)
一方の制作側の弁護士は「返還請求には法的根拠がなく、訴訟になればそれに対応していく」としています。
トラブルは長期化か

今後の方針について、市と制作会社はどう考えているのでしょうか。
関市は督促状を送付し、その期限内でも返還がなければ、訴訟かということです。
企画会社は、返還請求については返す法的根拠がない、訴訟ということになればそれに対応していくと話しています。
訴訟になれば、問題はさらに長期化するものとみられます。