【もち米高騰】あられやおかき、大福が大ピンチ もち米作ると「清掃が手間」 専門家指摘

あられやおかき、大福などの和菓子の原材料である「もち米」の価格が高騰しています。名古屋市・大須のスーパーマーケット「生鮮食品館サノヤ」のもち米1.4キログラムあたりの価格は950円(10月17日時点)。11月以降は1923円と、約2倍の価格で販売する予定といいます。
約1年前は646円で販売していたもち米。価格高騰の背景について、米流通評論家の常本泰志さんに取材しました。

もち米の価格高騰には生産量の減少が関係しているといいます。特にもち米の代表的な品種「ヒメノモチ」の減少が顕著です。農林水産省が発表した2024年の1年間の「検査数量」を見ると、前年に比べて3万トン少なくなっています。検査数量とは、農林水産省がコメの品質や成分を検査した量のことです。
減少した要因は2つあります。
コロナ禍の影響で手土産の需要が減少

1つ目は、コロナ禍でのもち需要の減少です。
主な生産地である北海道や佐賀の農家は、企業などの需要に合わせて生産するもち米の量を調整しています。ただ、コロナ禍であられやおかきといったお菓子を手土産で持っていく機会や外国人が購入する機会が減り需要が落ち込んで、生産量の減少につながったということです。

そして、もち米の減少の要因2つ目は、もち米から主食用のコメ(うるち米)に転作する農家の増加です。2024年、全国的に主食用のコメが不足するという状況になりました。さらに、2024年はもち米よりも、主食用のコメに高値がつくという状況だったため、もち米から主食のコメに転作する農家が増えて生産量が減ったということです。
今、もち米が高く売れるのであれば、また、もち米を作ればいいのでは? と思いますが、簡単にはいかないんです。常本さんはもち米を作る上での作業負担が大きいため一度もち米の生産を離れた農家が、また戻るのは難しいといいます。
主食用のコメともち米が混ざらないよう、すべての設備を清掃

一般的に、農家は主食用のコメともち米を一緒に作り、もち米は、主食用のコメの収穫時期の間に収穫することが多いそうです。その際にこの2つのコメが混ざらないよう、コンバインや乾燥機など全ての設備の清掃を行うといいます。
特にコンバインの清掃は、機械を解体して行わなければならず、丸1日かかる大変な作業です。高齢化が進む農家にとって、かなりの手間がかかります。そのため、両方のコメを作るのは面倒になってしまい、一度、農家がもち米作りを止めてしまうと、なかなか戻れないというわけです。
企業、農協、もち米農家の3者の協力が必要

常本さんは「もち米を必要とする企業と農協、もち米農家の3者の協力が必要」と見解を示します。企業が必要としているもち米の量を農協が把握し、農家がもち米を安心して生産できる価格で契約栽培をする。「こうすることで、需要に合わせた安定的な生産が行われ価格が安定するのでは」と話していました。
日本の大切な文化である米菓やもちがなくなってしまわないよう今、手を打っていく必要があるかもしれません。