神棚に祭られているのはアイドルグッズ 市場規模縮小でも現代ニーズに応え売り上げUP「仏壇のはせがわ」

仏具業界が苦境の中、仏壇の製造・販売の大手が、全く新しいカテゴリーの商品を手掛け、客層の拡大に力を入れています。あの手この手を使った新しい仏壇販売とサービスの形を取材しました。
アイドルオタクの新たな祈りの場「推し壇」

福岡で芸人として活動するアイドルオタクの“はじめちゃん”さんは、自宅の神棚にアイドルグッズを飾り、推しのHKT48に手を合わせています。芸人 “はじめちゃん”さん「分かりやすく力をもらえるスポットが家の中に1つできた」とうれしそう。

この神棚「推し壇」を開発したのは、全国130店舗以上で仏壇・仏具を販売している「はせがわ」です。価格は9900円で、若い客層を取り込む狙いがあります。はせがわは、若い世代に向けて自分の身近なものから手を合わせる習慣を推進しています。
仏壇業界のニーズに応える商品開発

仏壇・仏具業界の市場が縮小する中、はせがわは売り上げを伸ばしています。その理由は、現代のニーズに沿った仏壇の開発。従来の伝統的な仏壇は全体の2割程度で、現在8割を占めるのは家具のようなモダン型仏壇です。
例えば、人気家具メーカー「カリモク」との共同開発や、建築家の隈研吾氏のデザインによる仏壇が販売されています。これらのモダン型仏壇は、ダイニングや寝室にもマッチする小型の仏壇はECサイトで売れていて、若い世代の仏壇離れを食い止めるのに一役買っています。
はせがわ 岡浩文営業部長:
「オンラインショップで10~20%の売り上げで伸長しています」
終活サービスとアプリで継続的な顧客関係を構築

はせがわは仏壇を販売するだけでなく、顧客との継続的な関係を築くためにさまざまなサービスを提供しています。例えばアプリで命日を登録すると、月命日や一周忌、三回忌の法要をプッシュ通知で知らせ、線香や仏具の購入を促します。このアプリの登録者数は20万人を超えています。

さらにはせがわは終活の相談サービスも提供しています。不動産や遺品整理の会社を紹介し、契約成立で手数料を得るほか、提携する法律の専門家も紹介しています。このサービスは開始から1年半で4300件以上の相談があり、慣れない終活のサポート役としても好評です。
日本経済新聞社 堀田真優音記者:
「はせがわは時代のニーズに合わせて主力商品のシフトチェンジを行い、アプリの機能を生かして継続的な購入モデルを構築しています。新たに終活市場に参画したことで既存の売り上げに相乗効果を生んでいます」