3人死亡の土砂崩れから1年 想定外の土砂災害への備え「気付きを積み重ねる」 愛知

愛知県蒲郡市で3人が死亡した土砂崩れから27日で1年です。土砂の撤去が進む現場に市長が訪れ、痛ましい被害を忘れまいと哀悼の意がささげられました。
愛知県蒲郡市の土砂崩れの現場。今も山肌には、えぐられたような跡が残ったこの場所で27日、蒲郡市長が哀悼の意を捧げました。
去年8月27日、午後10時すぎ。蒲郡市竹谷町大久古で住宅1軒が巻き込まれる土砂崩れが発生。
住宅に住んでいた家族5人のうち、70代の夫婦と30代の長男が死亡。40代の長女と次女がけがをしました。
愛知県などは、現場が「土砂災害警戒区域」に指定されておらず「これまでに発生した土砂災害とは異なる点がある」として去年9月から調査を開始。
そして今年5月、結果をまとめた報告書を公表しました。
地元でも“想定外”だった被害について報告書では、現場周辺は、水を含むと崩れやすい「まさ土」と呼ばれる地質で、大量の水により「流動化した土砂が土石流の形で斜面を高速で流れ下った」ものと考えられるとしています。
再調査を踏まえても現場付近は土砂災害警戒区域には該当しないと結論付けられました。
明確な原因が分からないままの土砂災害から27日で1年。
「思いもよらなかった土砂災害であるが、本当に市民の尊い命を失ってしまったこと、私も行政を預かるものとして、責任を感じているところである。亡くなった方に対して改めてご冥福をお祈りしたい」(愛知・蒲郡市 鈴木寿明 市長)
土砂崩れについて専門家は

名古屋大学の田中隆文客員教授は、防災の専門家として、現地調査にも同行しました。
「あそこであの夜崩れるというのは、なかなか予想できなかったと思う」(田中教授)
自分の家は大丈夫か知るすべは?
「土砂災害警戒区域に指定されているか指定されていないかは重要な情報で参考にして欲しいが、どの斜面もそれなりのリスクを抱えているという認識が必要」(田中教授)
そのうえで、リスクを減らすには、地域住民で情報共有を重ねることが重要だと訴えます。
地域住民にはどんな”気づき”のヒントがある?
「昔どんな土地の利用をしていたかが大事。昔はこんなところに道は通っていなくて、道が曲がっていたとか、最近まっすぐな道ができたとか。地区の人の経験や気付きを積み重ねてあわせて自分たちの防災マップを作るのが大事」(田中教授)