“自分たちが作ったコメが売れなくなってしまう” 田植えシーズンに農家の不安 コメ不足で輸入米が増えたら・・・ 愛知・安城市

備蓄米を放出しても、コメの値上がりはまだ続いています。コメ不足で輸入米に頼らざるを得ない中で今、新米の田植えシーズンを迎えています。農家はどんな状況なのでしょうか。
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安城市の農家、稲垣巨樹さん。65ヘクタールの農地の半分で稲作を行っています。
(農家 稲垣巨樹さん)「(Q:田植えのシーズンですが、今田んぼどんな状況?)3月中・下旬にじかまきした所がちょうど芽が出てきた状態」
このまま順調にいけば8月下旬から収穫できそうだといいますが、心配事が…
(農家 稲垣巨樹さん)「(Q:ちゃんと育ってくれないと困る?)そうですね。ことしも暑いといわれているので、どう乗り切ろうかと。ことしは少しでも多く、一粒でも多く収穫してやろうと」
値上がりが続いている国内のコメ価格を横目に海外からの輸入米は増加。農水省によると今年2月の民間企業によるコメの輸入量は523トンで、前の年度全体での輸入量368トンを1か月で上回りました。
こうした事態に稲垣さんは…
コメ農家から不安や心配の声…
(農家 稲垣巨樹さん)「外国の安いコメが常時入る状態だと、消費者はどうしても今安いコメを求めていくので、作ったコメは買ってもらえるのかと、将来的に10年、20年たった先にどうなっていくのか心配はある」
(農家 稲垣巨樹さん)「(Q:外国産米に頼るには来年以降やめてほしい?)やめてほしい。国産でコメは今まで賄えてきた。賄える力はあるので、政治の力でなんとかしてほしい」
同じ安城市内の他のコメ農家の皆さんにも聞きました。
Q:コメ不足どう思う?
(農家 杉浦勝久さん)「なんでないんだろう。今までずっと余ってきて、余れば余るほど米価が下がる中で、なんでここに来てないのかなという思いしかない」
Q:輸入米の存在は怖い?
(農家 稲垣勝一さん)「外食産業とか利益率が厳しい所は安い(外国の)コメに流れてしまうのではと。国産じゃなくてそれなりの海外産のコメがあるなら、そっちを使って少しでもコストを下げる方にいくのでは」
「自分たちが作ったコメが売れなくなってしまうのではないか」という心配。そして・・・
(農家 稲垣勝一さん)「(価格が)暴落するのが怖い。ことしはいいと思うが来年、再来年下がったらやっていくのが心配」
「国産米がどうなるのか」…江藤農水大臣は?
Q:トランプ関税は心配?
(農家 稲垣勝一さん)「国産の需要が減るので、相対的にコメ余りになって価格が下がる。負のスパイラルになるのではと心配」
(農家 鈴木貴士さん)「最終的に国内だけで賄えるように、増やしていかないとよくない」
今月22日。江藤拓農林水産大臣は…
(江藤拓 農林水産大臣)「コメを海外に頼る、米国に限らずという体制を築いてしまって、日本のコメの国内生産が大幅に減少してしまうということが、国益なのかということは国民全体として考えていただきたい」
輸入米に頼ることは国内の生産が弱体かするのでは?それでもいいのか?という認識を示しています。そこで農家の稲垣さんに聞きました。
約30年続けてきた“コメ農家” 「本当に困る…」
(農家 稲垣巨樹さん)
「(Q:国の農政が揺らいでいるようにも見える。国に言いたいことは?)コメの値段が安定して相場が動くようにしてほしい」
「(Q:小売価格も去年の倍以上)そうですよね、消費者の方も困ってしまう。作って買ってもらえなくなったら本当に困る」
稲垣さんは65ヘクタールある農地の半分で小麦と大豆も作っています。コメとともにこれらも大事な生活の糧…。
(農家 稲垣巨樹さん)「(Q:コメの「増産」は、できない?)国産麦を使ってくれる業者、国産大豆を使ってくれる業者、消費者もいっぱいいるので、(私が栽培する小麦・大豆を)なかなか減らすわけにはいかない」
約30年米作りを続けてきた稲垣さんですが、このままでは国産米が高すぎてどんどん消費者が離れていくのでは?こんなピンチは「初めて」だと顔を曇らせています。