小泉農水大臣の統計改革「作況指数公表廃止」を発表 コメ問題はどう変わる? 愛知の農家の声を取材「新しい施策に期待かな」

16日に小泉進次郎農水大臣がコメの育ちや出来栄えを示す「作況指数」の公表を廃止すると発表しましたが、地元・愛知のコメ農家は…。
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(大石邦彦アンカーマン)「愛知県弥富市の田んぼ。暑い。小泉大臣の発表どうなのか聞いてみます」
訪ねたのは、愛知県弥富市の鍋八農産です。約200ヘクタールの田んぼで、ことしは約70トンの収穫を見込んでいますが…
(鍋八農産 八木輝治代表)
Q:暑いが、田んぼへの影響は?
「今のところ大きな被害はないと思うが、この高温が続くと高温障害。真っ白くなって品質が低下してしまう。やれることは田んぼに水を張ったり冷やすこと。(気温(の対応)はなかなか厳しい」
そうした中、きのう、小泉大臣からコメの統計に関して発表が。
コメの出来栄えを示す「作況指数」の公表を廃止
(小泉進次郎 農水大臣)「この度、農水省として毎年のコメの出来・不出来を示す指標として、約70年前から毎年秋に実施してきたコメの作況指数の公表を廃止することにした」
コメの育ちや出来栄えを示す「作況指数」の公表を廃止するというのです。理由は算出したデータが「生産者の実感とずれている」ことだといいますが、生産者側としては…
(八木輝治代表)「国の発表の方が感覚では多い。僕らもっと少ないのに」
作況指数の計算方法は、「10アールあたりの収量、つまり1000平方メートル当たりの収穫量」を、30年間のデータを元にした「平年の収量」で割ったものに100をかけます。
無作為に選んだ全国約8000か所の水田を調査して計算しますが、鍋八農産の田んぼもその調査の対象になってきたといいます。「坪刈り」という1坪あたりを全部刈り取って、根本から全部統計に持って行くとのことです。
機械で刈る際のロス、選別に使うふるいの目の粗さの違い
(八木輝治代表)
Q:決められた面積を、どうやって刈る?
「手で全部。僕たち機械で刈っているので、若干(機械の)ロスは出る。手刈りで持って行けば、現場でのロスはない」
Q:実際、農家は機械を使うので収量は少なくなる。そこでずれが生まれる?
「まず一つ生まれる」
また今回、収穫量の調査にあたってコメの選別に使うふるいの目の粗さを現状の1.7ミリから、現場でよく使われる1.8ミリ~1.9ミリに変更すると発表。
(八木輝治代表)「1.7ミリではふるったことないので、1.7ミリは持っていない。小さい目の方が収量が出る。下に落ちないので」
実際に使っているふるいを見せてもらうと…
(八木輝治代表)「この目が1.7ミリとか1.85ミリという話。これは1.85ミリ。0.05ミリ変わるだけで『え!?』という話。1.7ミリでは僕ら流通できない。大きいものも小さいものも混ざっている感じ」
これまで調査で使ってきた1.7ミリのふるいで測ると品質が悪い粒が含まれている可能性があるため、実際に生産者が使う1.8ミリ~1.9ミリのふるいへの変更は実態に近づくと評価しています。
収穫時 大きいと200キロ増減が出ることも
また、農水省は人工衛星やAIなどの最新の技術を活用したり、大規模な水田を持つ生産者が使っている「コンバイン」で収穫の際、刈り取った量を測るなどより実態に近い収穫量の把握に取り組む方針を示していますが、これについては…
(八木輝治代表)
Q:どのぐらい精度が高いもの?
「実際、僕たちはこれ(コンバインの数値)ととれた生もみを測っている。大きいと200キロ増減が出る」
Q:その200キロは1枚の田んぼで?
「そうです。ひどいと200キロくらい多かったり少なかったり表示される。それを使うのはおかしい、数字として。僕たちはあくまで目安で見ているだけ」
小泉大臣の統計改革はコメ問題の解決につながるのでしょうか?
コメ問題が続く中、進む小泉大臣の改革
(八木輝治代表)
Q:新たな調査方法で実態をつかめる?
「なかなか難しいのでは。大きな農家から小さな農家もいて、どのように情報を集めるのか。今まで一度も、ことしこのくらい取れたという情報を求められたことがない。なので、どう情報を集めるのか新しい施策に期待になるんですかね」
小泉農水大臣はさらに改革の手を伸ばしています。きょうの会見では。
(小泉農水大臣)「前例にない取り組みも含めて、やっていかなければならない。われわれが流通全体の解明に対して、本気であるという明確なメッセージとしたい」
コメの流通の実態を正確に把握するため、これまでの調査対象に加えて出荷などを担う7万の事業者に対し、今月末時点の販売や在庫状況などの報告を求める考えを明らかにしました。結果は7月下旬にも公表される見通しです。