
飛行機のトイレが一斉に「使用不可」… 国際線が引き返すトラブル相次ぐ 背景に飛行機特有の構造も

飛行機で、トイレが一斉に使えなくなるトラブルが相次いでいます。国際線が引き返さないといけなくなったことも…。
なぜこんなことが起きているのでしょうか。

2024年12月10日午後6時半ごろ、日本航空(JAL)のボーイング787-9型機がオーストラリアのメルボルンに向かって成田空港を離陸しました。
約1時間後、機内の左側に4カ所あるトイレの入り口に、次々と赤いランプや張り紙がつきました。「使用不可」の表示です。
出発空港に引き返し、5時間遅れ

右側に3カ所あるトイレは使えましたが、メルボルン到着まで約9時間もかかります。
機長は「乗客130人に相当な不便をかけることになる」と、成田に引き返すことを決断。
午後9時過ぎに成田に着陸し、機材を変更して再びメルボルンに向かいました。
到着したのは予定の約5時間後でした。
整備士がトイレを調べたところ、配管に大量のペーパータオルが詰まっていました。さらにペットボトルの蓋もありました。
大量のペーパータオルが…

トラブルは今年も起きています。
4月15日のJALの羽田発インド・デリー行きの便。
離陸から約1時間後に食事サービスをしていた最中、機体左側のトイレ4カ所がすべて「使用不可」になりました。
右側の3カ所のトイレに列ができるようになり、その後もトイレの待ち時間が長くなることが予想されました。
さらに右側のトイレまで使用不可になった場合の乗客への影響を考え、羽田空港に引き返すことに。
機材を交換して再び出発しましたが、これも大量のペーパータオルが詰まりの原因でした。
トラブルは1年で23件も

JALによると、2024年7月からの1年間で、複数のトイレが詰まるトラブルは23件ありました。
近年になって大きく増えているといいます。
トイレを詰まらせたものは、ペーパータオルのほか、オムツや生理用品、汗拭きシートなど。下着やスカーフが見つかったこともありました。
背景に飛行機特有の構造

トイレが詰まることは一般の建物でもありますが、飛行機には特有の事情があるといいます。
飛行機の汚物タンクは、機体の最後尾にあります。
複数のトイレが1本の配管で汚物タンクとつながっていて、1カ所で詰まってしまうと、同じ配管でつながっているトイレすべてが使用不可になってしまいます。
「トイレットペーパー以外は流さないで」

JALはトイレ内に「トイレットペーパー以外は流さないでください」という注意を多言語で表示しています。
トイレットペーパー以外はごみ箱に捨て、もし異物を便器内に落とした場合は乗務員に知らせるよう呼びかけています。
(メ~テレ 山吉健太郎)





