「ブラックサンダー」「しるこサンド」菓子作り“見せる工場”狙いは…専門家「若い労働力の確保」

ザクザク食感とほろ苦い甘さで「イナズマ級」のおいしさをうたう、あのお菓子にどっぷり浸れる見学施設が来週、愛知県豊橋市にオープンします。一足先に見学しました。
豊橋を代表する銘菓といえば、ブラックサンダー。ラッピング電車にも描かれるこのお菓子をめぐり、新たな動きが。
豊橋市に工場を構える有楽製菓。20日、新たな施設の完成を祝うセレモニーが行われました。
「体験型のエンターテイメント施設。お腹だけでなく心を満たすお菓子の魅力を世界中に発信していきたい」(有楽製菓 河合辰信 社長)
新工場にできた見学施設。27日の一般公開を前に先行取材しました。
大迫力のブラックサンダー

「入り口には巨大なブラックサンダー。ワクザクファクトリーは一体どんな施設なんでしょうか。ブラックサンダーの中に入っていきます」(上坂アナウンサー)
あのザクザク食感の決め手となるクッキーやビスケットを巧みに混ぜ合わせ…。
そして、目の前に現れたのは、長さなんと18mのブラックサンダーの生地。
「イナズマ級」のおいしさには欠かせない重要な工程だといいます。
原料の投入から成型、包装まで、黒く輝くブラックサンダーが次々と流れるラインの長さは約80mにも及びます。
「たっぷりチョコの滝」

今回、特別に間近で見させてもらった場所があります。
Q.この機械が?
「チョコレートをコーティングする滝になっています」(有楽製菓 マーケティング部 泉澤杏月さん)
これぞ名瀑「たっぷりチョコの滝」。上から滝のようにチョコレートが流れるこの工程では、生地に練りこむものとは別のチョコをコーティング。ザクザクの生地が際立つといいます。
じっくり冷やした後はロボット包装の工程へ。その動きは社長もイチオシです。
施設内の直営店にはブラックサンダーのグッズが並ぶほか、詰め放題も。さらに、フォトスポットでの撮影を楽しめます。
「ブラックサンダーの世界に入り込む体感してもらうことを重視して、モニュメントやパーツをちりばめている。ぜひ体感してブラックサンダーをより好きになってほしい」(河合社長)
工場の拡大にあわせ店舗を併設

愛知県民のおやつの定番「しるこサンド」でも。
愛知県小牧市の松永製菓は去年、工場併設の新業態店舗「シルコッテ」をオープンしました。
作っているのは「生しるこサンド」。20日は「こしあん」味です。
今は5種類あり、どれを作っているかはその日のお楽しみだといいます。
手狭になった工場の拡大にあわせ、店舗を併設しました。
オープン直後は月1000人の来店を見込んでいましたが、想定の3倍の客が訪れたといいます。
「ここで作っているものをその店舗で買うことができるのは、安心感やわくわく感が違う。誰かにあげる時に『これ作ってるところ見てきたよ』というみやげ話をその人にすることができるのは、この店舗の付加価値なのかなと思う」(松永製菓 広報部 可兒里奈チーフ)
専門家「ブランド価値を高める狙い」

相次ぎオープンする「見学できるお菓子工場」。
企業戦略に詳しい、中京大学の内田俊宏教授は、ブランド価値を高める狙いが企業にはあるといいます。
「体験型の見学をしてもらうことによって、その商品に対する信頼性が増す。見学者に与えるインパクトは工場見学のほうが大きいと思う」(中京大学経済学部 内田俊宏 客員教授)
企業のメリットはほかにも。
「工場見学をしてもらって工場で働きたいという若い労働力確保につなげたいというのが大きいのではないか。さらに海外・アジア市場にブランド力を高めて、輸出につなげていくというところまで視野に入れていると思う」(内田教授)