
楽器を背負い山頂でライブも…バンド『スーパー登山部』が体現する自然と音楽の魅力「自分達が面白いと思う事を」


愛知県を拠点に活動する「スーパー登山部」は、音楽と登山を融合させたユニークなスタイルが話題のバンドです。実際にキーボードやドラムなどの楽器を背負って山を登り、山頂でライブを行うなど、自然と音楽の魅力を体現。登山未経験だったメンバーも活動を通じて山の魅力に引き込まれ、クラウドファンディングによる自主フェスも成功させるなど、今勢いに乗るインディーズバンドです。
■自然と音楽の魅力を発信…スーパー登山部
愛知万博記念公園で開かれた音楽イベントで爽やかな音楽を奏でるのは、「スーパー登山部」です。リーダーでキーボード・小田智之さんやボーカル・Hinaさんなど、メンバー5人はいずれも愛知県出身です。

客: 「めちゃくちゃ良かったです」 「楽曲がすごく好き。あとライブがすごく楽しい」 そんな彼らの最大の特徴は「登山」。実際に山に登って演奏するというユニークなスタイルを持っています。
■「面白い活動かもしれない」…山を登り音楽を奏でる活動にメンバーも共鳴
5月20日、スーパー登山部の姿は、三重県と滋賀県にまたがる竜ヶ岳にありました。 小田さん: 「白馬でのライブに向けた歩荷トレーニング。当日に使う楽器を背負って登って、演奏するまでをトレーニングとして」

スーパー登山部は、名前の通り山に登るバンドです。音楽と山登りの2つの要素を掛け持つスタイルのきっかけは、リーダーの小田さんでした。 父親の影響で登山経験があったのは小田さんだけでした。バンド結成時、名前をどうするか話し合う中で、他のメンバーが「スーパー登山部がいいんじゃない?」と提案。小田さんが「それ、いいね」と即決し、名前が決まると「名前が登山部なら、一度は登らなきゃ」と、他のメンバーも初めての登山に挑戦しました。 小田さんは、高校時代に不登校を経験した際、音楽に救われたことをきっかけに名古屋芸術大学へ進学。作曲を学び、2023年に自らの楽曲を届けるために「スーパー登山部」を結成しました。

初登山を終えたメンバーたちは、登山の厳しさとともに、足を運ばないと見られない絶景の特別さを知り「すごく面白い活動かもしれない」と共鳴しました。
■山に登って音を届ける…自然と共鳴するバンドの挑戦
2024年8月、標高2,932メートル、北アルプスの白馬岳の山頂直下にある山小屋「白馬山荘」まで楽器を担いで登りライブを開催しました。

さらに、SNSでは登山の際の注意点を発信するなど、“登山部”らしいスタイルも大切にしています。 こうした自然と調和した取り組みが話題となり、2025年5月には結成3年目にして、三重県・御在所岳の山頂で音楽フェスを主催。費用はクラウドファンディングで集め、目標を大きく上回る218万円が集まりました。

竜ヶ岳での登山は、今年も開催する白馬山荘ライブに向けたトレーニングの一環です。身長182センチのキーボード・小田さんは、頭の高さをはるかに超えるキーボードを背負い、慎重に山道を進みます。

さらにもう一人、ドラム担当のメンバーも大きな荷物を抱えます。簡易セットとはいえ、ドラム一式は24キロもの重量があり、歩みを重くします。この日の目標は、標高1,099メートルです。 登山客:「山頂で演奏会ですか?」 別の登山客:「よく担いで登ろうと思ったね」 大きな荷物を背負ったメンバーの姿に、登山客たちも興味津々。登り始めて約2時間、ようやく山頂に到着しました。他の登山者の迷惑にならない場所を選び、持ってきた楽器を広げてミニライブが始まります。 小田さん: 「2曲ほど演奏させていただきます」

音楽も山も好きだからこそ、その魅力を伝えたい。小田さんはこう語ります。 「僕らの活動を通して、“音楽もいいけど山もいいよね”って思ってもらえたらうれしいし、逆に外に出るきっかけがなかった人にも、“自然っていいな”って感じてもらえたらいいなと。使命感じゃなくて、ただ自分たちが面白いと思うことを、みんなと共有できたら十分です」 自然と音楽の魅力を体現。そんな“スーパー登山部”の挑戦は、まだまだ続きます。 2025年6月5日放送