
コロナ禍前からの回復率“全国ワースト”…インバウンド伸び悩む三重『観光政策』が知事選の大きな争点に 候補者達の訴えは


三重県知事選挙は9月7日に投開票が行われます。その大きな争点の一つとなっているのが、コロナ禍からのインバウンド回復が伸び悩む「観光」の問題です。
■豊かな観光資源も…インバウンドの回復率“全国ワースト”
鳥羽市の高台にある「鳥羽グランドホテル」は、ロビーや客室から鳥羽湾の絶景や離島を一望できます。

しかし、若女将の悩みは外国人旅行客が思うように戻ってきていないことです。 若女将の上野さきさん: 「(外国人は)最近になって少しずつ増えてきているものの、元に戻ったくらい、やっとコロナ禍前にたどり着いたくらいのイメージ」 2024年、訪日外国人旅行者は、全国で3687万人と過去最高を更新しました。外国人で賑わう観光地の様子は、今や見慣れた光景です。 外国人宿泊者ののべ人数でみても、全国ではコロナ禍前の2019年を4割ほど上回る活況ですが、伊勢神宮をはじめ魅力十分なはずの三重県は、逆にコロナ禍前の6割ほどで、回復率は全国ワーストです。

上野さん: 「(外国人は)和室よりもベッドのお部屋をご希望いただくことが多いです」 鳥羽グランドホテルではコロナ禍以降、国や県の補助金を使って、18部屋あった和室を洋室にリニューアルしました。

日本の文化を感じてもらおうと、一部畳を残すなどの工夫をしながら、2025年度も新たに3つの和室を露天風呂付きの洋室に変更する計画です。 上野さん: 「インバウンドのお客さまにももっと来ていただきたいし、鳥羽を知ってほしい。三重県全体が一つになって何かできる取り組みがあればいいなと」 県も危機感を募らせています。 三重県インバウンド誘客総括監の郡巧さん: 「認知度不足かなと思っています。三重県にはたくさんの観光地がございますけれど、それが外国の方に十分伝わっていないんじゃないか」 大阪・関西万博では県のブースを出展し、映像や体験を通して海外客にアピール。SNSでも海外で人気のインフルエンサーと連携してPRするなど、様々な方法を模索しています。

三重県インバウンド誘客総括監の郡巧さん: 「非常に長い取り組みが必要かなと思っています。戦略計画を立てて、それに基づいて取り組みを進めたい。少なくともコロナ禍前までは回復させたいですし、それ以上に進展していくような方向を目指したいと考えています」
■インバウンド回復へ…各候補者の訴えは
7日に投開票が行われる知事選でも、インバウンドの呼び込みをはじめとした観光政策は大きな争点です。

一見勝之さん(62)は、データに基づいた「インバウンド誘客計画」の策定や、海外や東京での観光プロモーションの実施を訴えています。 伊藤昌志さん(55)は、地域の特性を生かし、歴史や自然、食など県ならではの魅力を発信していくとしています。 石川剛さん(51)は、宿泊施設への支援を拡大し、訪問先に選ばれるような大型イベントを立案したいと訴えています。