「空飛ぶクルマ」が空を飛んだ 4月13日開幕「大阪・関西万博」でも客を乗せないデモ飛行が実現

4月13日(日)から、大阪・関西万博が開催されます。日本で開催されるのは、2005年の「愛・地球博」以来、20年ぶりです。テーマは「いのち輝く 未来社会のデザイン」。世界中が協力して社会課題を解決し、1人ひとりが望む生き方を実現するためにはどうすればいいかを考える内容です。165の国と地域などが参加しています。
そんな大阪・関西万博の会場に、ひと足早く石井俊大アナウンサーが訪れました。一部パビリオンの見どころとともに、デモフライトの様子も紹介します。
大屋根リング、高さ12メートル~20メートル

石井俊大アナウンサー:
「大阪・関西万博の会場の真ん中には、シンボルである大屋根リングがあります。この中に海外パビリオンが、その外側には企業パビリオンなどが点在しています。
大屋根リングは低いところで12メートル、高いところでは20メートルという高さで、エスカレーターを利用して昇ります。上も下も歩くことが可能。この大屋根リングを利用して、さまざまなパビリオンを訪れることができます。和の雰囲気がありながら、現代的なモダンな雰囲気も兼ね備えた建造物です」

チェコのパビリオンは、螺旋状の建物の中が回廊になっていて、伝統工芸である「ボヘミアガラス」が展示されています。屋上からは大屋根リングを一望できるほか、万博会場を見下ろすことも可能です。
チェコパビリオンの担当者は「この景色がチェコパビリオンの大きな魅力」と絶賛します。

さらにオーストラリアのパビリオンでは、国内の自然を再現。木の間には、国内に生息する有袋類であるコアラやオポッサムの映像が流れていて、オーストラリア独自の生態系を学べます。
ますます盛り上がりを見せているこの大阪・関西万博ですが、開幕までにはさまざまな課題も指摘されていました。
海外パビリオンの建設遅れ、展示物が“届いたばかり”の現実

1つ目は、海外パビリオンの建設の遅れです。
石井アナウンサー:
「大がかりな重機を取り入れて建設工事を行っているわけではない一方で、お客さまを100%の状態で出迎える準備ができているかといえば、必ずしもそうではないという状況でした」
具体的には、展示物がつい最近届いたため、段ボールを開封していない状況。パビリオン会場の外に置いている状況でした。 そのため、建設自体は遅れていないといえます。

2つ目は、万博の会場に入るにあたって、手荷物検査や、金属探知機によるゲートを通る動線です。
石井アナウンサー:
「真夏に混雑している状況で、ゲートにある屋根よりも行列が後ろに伸びた際の暑さが気がかりです」
日本特殊陶業の出展ブース

海外パビリオンだけでなく、名古屋市東区に本社があるNiterra日本特殊陶業が出展しているブースもあります。
石井アナウンサー:
「大きく分けて2つの未来の社会を展示しています。1つ目は、海の中の映像が映っているスクリーン。ポイントはスクリーンに設置された青色、紫色、黄色の装置です。青色の装置は水から水素をつくる装置、紫色の装置は水素からメタンをつくる装置、黄色の装置がメタンから電気をつくる装置をそれぞれイメージしているモニュメントです」
現在の科学技術で燃料をつくるのは可能ですが、未来の社会として自分がつくったエネルギーを自分の意思で必要な人に届けることができれば、世界中の人たちに平等にエネルギーを届けることができるのではないか。そんな思いが込められています。
3Dのクジラにタッチ!「小動物のような触り心地」

2つ目は3Dの映像を触ることができる「空中感覚装置」。近い将来、日常生活に取り入れられるのではないかといわれる最新技術です。映像には、3Dのクジラが映っていて、触ることができます。
石井アナウンサー:
「触り心地は、風を受けているのに加えて、小動物の柔らかさがあります。映像で“タッチ”と書いてあるところを指で触れると、クジラが大きな口を開けて雲を飲み込みます。すると雨が降り、この雨粒のポツポツと落ちてくる触感を手のひらに感じます!」
この空中感覚装置は超音波で触感を表現。振動ではなく、触感で感じるため、超音波を細かく振動させたり回転させたりして、触っている感覚を生み出しているのです。
こうした装置が世の中に浸透すると、どのような未来が待っているのでしょうか。Niterra 日本特殊陶業 コーポレートコミュニケーション室の平野なつき室長に話を聞きました。

――どんな未来をつくってくれる装置ですか。
「例えば、遠くに住んでいるおじいちゃん、おばあちゃんにお孫さんを抱っこしてもらう、そんなこともできると思います。いまは音声と画像は残すことができますが、触った感触は保存できません。将来的に技術が保存できれば 、幼かった頃の自分に会えたり、赤ちゃんの頃のお子さんにもう一度会えたり。そんなことが実現できたらいいな、と考えています」
空飛ぶクルマのテスト飛行も!

そして万博会場の西の端には、空飛ぶクルマの離着陸場があります。空飛ぶクルマを開発しているのは、豊田市のベンチャー企業「Sky Drive」。もともと、万博の期間中に空飛ぶクルマで一般客を乗せる「商用運行」を実施するために開発を進めてきました。
飛行時の音が小さいことや、小さなスペースでも離着陸可能。しかし、安全性に関する認証の取得に時間がかかったことなどから、2024年6月に乗客なしでのデモフライトへの変更を発表していました。

担当者によると、この空飛ぶクルマは、地上から約150メートルまで上昇して運行できるそうです。4月9日のデモフライトでは、5メートルから6メートルほど飛ぶことができました。
Sky Driveは空飛ぶクルマを2030年以降に自動運転化、2050年までには誰もが自由に空を飛べる時代を目指しています。
(2025年4月9日放送「5時スタ」より)