
続く“令和のコメ騒動” 増産決定も今年の値下がりは期待薄か… 新米シーズン到来で5キロ4000円台に? 「去年の5キロの値段が今の2キロの値段」

東海地方でもいよいよコメの収穫が始まりました。猛暑に耐えて実ったコメの出来はどうだったのでしょうか。そして、気になる今後のコメの価格は…?
“早場米”収穫始まる 農家ドキドキの初収穫に密着

8月6日、三重県木曽岬町で行われていたのは、秋のシーズンより早く収穫する、いわゆる早場米の収穫です。
コメ農家の古村さんが、その様子を見つめていました。穂の長さも十分にあり問題ないように見えますが、収穫を迎えるまでは心配していたことがあるようです。
木曽岬農業センター 古村英之取締役:
「気温が高い所だと40℃ぐらいまで上がる地域もあるなかで、一番心配なのが高温障害」
木曽岬町の隣の桑名市では40℃を超える日もあり、連日猛暑が続いています。

この日、田んぼに移動すると、すでに穂先がずっしりと垂れ下がり、黄金色に輝いていました。実の付き方は良さそうです。

そして、今年のコメの出来が分かる“もみすり”へ。この作業が一番ドキドキして心拍数が上がる瞬間だといいます。
作業が始まると、満足そうな笑顔を浮かべた古村さん。出来は良いようです!

しかし、早場米がしっかり取れたとしても、まだまだ安心はできないといいます。
今回収穫したのは、早場米のあきたこまち。実は、古村さんの田んぼの中で、早場米のあきたこまちが占める面積はごくわずか。
木曽岬農業センター 古村英之取締役:
「もうすぐはじまる“コシヒカリ” “あいちのかおり”。その2品種で安定的に生産できれば、(コメ不足の)令和6年産みたいに大変なことになる確率は下がるんじゃないかな」
気になる新米の価格は? スーパーではLINEで値段交渉

新米の時期を迎え、店頭に並ぶ価格はどうなるのでしょうか。
名古屋市中村区のスーパー「サンエース亀島店」では、5月まで品薄が続いていましたが、現在はコメが並んでいます。しかし、買い物客からは「ちょっと前から(コメが)高くなっていて家計が大変」という声も…。
サンエース執行役員 宮下裕基さん:
「去年の5キロの値段が今の2キロの値段です。どうしても節約志向なので、2キロを購入する割合が多くなっている」

最近は値下がりが続いていた全国のスーパーでのコメの販売価格の平均は、最新では3625円と前の週より40円上がり、10週ぶりに値上がりしました。
この店では、お盆が過ぎたころには新米が売り場に並ぶということですが、価格については現在交渉中。

仕入れ先とのラインのやりとりを見せてもらうと、価格の問いかけに対し「3000円台後半」との文字も。確定するのは収穫後とのことですが、現状の予測は…?
サンエース執行役員 宮下裕基さん:
「4000円前後ですね。抑えたいんですけど、実際は税込み4500円までいく可能性はあります」

去年の新米価格より2000円ほど上がる見込み。しかし、新米の登場でこれまで並んでいたコメの価格は今より数百円下がり、手に取りやすくなりそうだということです。
サンエース執行役員 宮下裕基さん:
「正直(価格は)下がってほしいというのが本音。私も消費者の一人ですので」
コメ増産決定も今シーズンは高値が続く見通し

おいしいコメを適度な値段で買えるようになる日はくるのでしょうか。気になる今後の価格を、名古屋市内のコメを扱う業者にも聞いてみました。
現在、スーパーなどの価格は5キロで3600円前後ですが、新米のシーズンの迎えるにあたり今後は4000円前後まで上がり、年内はそれが続くのではないかということです。
理由としては、これまで全体の価格を抑えていた備蓄米が一通り売れたことや、今後は銘柄米の新米を中心に流通するので値上がりした状態が続くことが挙げられています。
去年から“令和のコメ騒動”が続いていますが、8月5日、国は需要と供給の見通しが誤っていたと認め、コメの増産を決めました。
しかし、これはあくまでも来シーズンの話。今シーズンのコメの価格がどうなるのか、まだまだ不透明な状態です。
来シーズンの増産についても、価格が安すぎて収益にならなければ農家は苦しくなるばかり。その辺りのバランスをどう取るのか、政府の手腕が問われます。
まもなく秋の台風シーズンもやってきます。天候が安定しておいしいコメが食べられることを期待しましょう。