
気温の変化は極地でも…過去30年で南極の内陸域の気温が“約1.5度”も上昇 世界平均の2倍超の速さで温暖化進む


名古屋大学などの国際研究グループが、南極の内陸の「気温」が世界の平均よりも2倍近い速さで上昇しているとする研究結果を発表しました。地球の温暖化でどんな影響がでるのでしょうか。
■南極の氷を体験する子供たち…現地では「変化」が起きていた
暑さも忘れる名古屋市科学館の人気大型展示「極寒ラボ」。寒さの中、南極の氷に手で触れられ、南極で撮影されたオーロラや白夜の映像を楽しむことができます。 厚手のコートに身を包んだ子供たちは、あまりの寒さに凍えながら、マイナス30度の世界を体験しました。

子供: 「寒すぎて死にそうです」 別の子供: 「めっちゃ寒い。(手を)伸ばしたらもっと寒い」 しかし今、南極にはある変化が起きています。8月7日、名古屋大学から驚きの研究結果が発表されました。
■南極の内陸域の気温 過去30年で約1.5度も上昇
名古屋大学にある宇宙地球環境研究所。ここで栗田直幸准教授が行っているのは、1万4千キロ離れた南極の気候の観測です。 栗田直幸准教授: 「最近は衛星経由でリアルタイムに南極の気温や気候を計測することができます」

8月1日から8月8日正午ごろまでの、南極の東側に設置された無人気象観測装置のデータを見せてもらいました。南極は今、真冬ですが、24時間で12度ほど気温が上昇し、グラフは大きく上がっているのがわかります。 栗田准教授: 「すごく強い暖気がここで入っていますね」 3年前、第64次観測隊の一員として南極を訪れていた栗田准教授。名大が国立極地研究所などとともに発表した、南極の温暖化に関する調査結果が今、注目を集めています。

1993年から2022年の過去30年で、南極の内陸域の気温がおよそ1.5度も上昇しているのがわかりました。 栗田准教授: 「同じ時期で比較しますと、世界平均が0.6〜0.7度の上昇になりますので、約2倍以上の早さで南極の内陸域が温暖化していることが今回初めて分かりました」 世界平均よりも2倍近く早く、南極の気温が上昇しているといいます。 栗田准教授: 「海の水は1回温まってしまうと冷めにくいんですね。しかも大気がどんどん温暖化で温かくなっていますから、今後もインド洋の温かくなった水は冷えないんですね。インド洋の温暖化はこのまま継続しますので、南極に温かい空気が入りやすい状態がもうしばらく続くのではないかなと」 地球規模の温暖化の影響が特に大きいという南極。私たちが今からできることはあるのでしょうか。 栗田准教授: 「遠い南極の話ですが、実際に毎年の夏に猛暑が増えているとか、私たちも地球温暖化を体で実感していると思うんですよね。緩和していく努力は必要かなと思っています。現在の温暖化を止めるような意識をしながら、地球にやさしい生き方をしていただけるようになるとうれしいなと思います」