半日で捨てられる「カイロ」が生まれ変わる 作ったのは池の水質もきれいにする「水質浄化剤」

寒い時期に重宝する「カイロ」を再利用して、池の水質をきれいにしている取り組みを取材しました。
使用済みカイロを「水質浄化剤」に

愛知県春日井市にある物流会社・ホンダロジコムは、使用済みカイロを回収しています。カイロは回収して業者に送付。到着したのは大治町にあるGo Green Japan(ゴーグリーンジャパン)でした。
会社の裏側に行くと、使用済みのカイロの山ができていました。約90トンもあるといいます。

日本カイロ工業会によると、2023年度のカイロの販売数は約17億4500万枚。Go Green Japanにはそうした使用済みのカイロが全国から届きます。寒い時期には1カ月間で約2トンも運ばれてくることも。

Go Green Japan 山田欽也理事:
「使い捨てカイロは短い命で、そのあとどうしようかなという相談も受けたことがありました」
Go Green Japanは、この集めたカイロで「水質浄化剤」を作っています。どのように水質浄化剤を作るのか、その方法を教えてもらいました。
SDGs12番:つくる責任つかう責任

カイロの中身を取り出してみると、鉄と炭が含まれた粉が入っています。山田さんはこの成分に注目しました。鉄と炭を化学反応させて、有機物を取り除くというような論文を目にしたという山田さん。これを水の中に入れると、含まれている鉄と炭が化学反応を起こし、二価鉄イオンが発生します。
この二価鉄イオンが水中のヘドロを分解し、悪臭を除去します。
松本城の池では泳いでいるコイが見えるように

長野県の松本城にある池では、最初はコイが見えないほどの水質でした。しかし、水質浄化剤を撒いて2カ月経つと、コイが見えるほどきれいになりました。

使用前後と比べてみると、その差は歴然です。山田さんは今後、愛知県内でも水質浄化の活動を広げていきたいとしています。
Go Green Japan 山田理事:
「愛知県に大きな池や堀、名古屋城もあるのでそういった場所で浄化活動の手伝いができたらいいなという気持ちはとてもあります」