
名鉄が社運をかける「名駅エリア再開発計画」再始動へ 南北400mを一新、2棟の高層ビルが中核に

名古屋鉄道の高崎裕樹社長が24日に会見し、中断していた名古屋駅周辺の再開発計画を再び進めることを明らかにしました。社運をかけた一大プロジェクト、気になる内容は?

高崎社長が明らかにしたのが「再開発計画 再始動」。
「名鉄名古屋駅は地下階に位置しており、その上部の低層階に商業施設を設けるほか、太閤通の笹島交差点の上部にバスターミナルを設けて、鉄道とバスのスムーズな乗り継ぎを意識した配置をしている」
名鉄名古屋駅の真上に位置する名鉄百貨店を含む南北約400mのエリアが、大きな変貌を遂げることが明らかになりました。
名鉄などは、名鉄グランドホテルや名鉄百貨店が入るビルなど6棟の解体工事を2026年度中に始め、27年度から新たなビルの建設を始める計画です。
「都市としての名古屋の魅力を高め、グループの成長の起爆剤となる名古屋駅再開発計画を、名鉄名古屋駅の再整備と共に進めてまいります」(高崎社長)
太閤通を挟む2つの高層ビル

計画は、太閤通を挟んで建つ2つの高層ビルが核になります。北側は高さ172mの31階建て、南側は高さ170mの29階建てです。
低層階には商業施設やバスターミナルなどが入り、高層階にはオフィスやホテルが入る予定です。
また、地下の駅部分では中部国際空港を使う人の利便性を高めるため、「空港アクセスホーム」を新たに設置します。
商業施設とオフィス、ホテルへの投資額は名鉄負担分だけで約5400億円といい、ビルは2033年度にほぼ完成する見通しだということです。
名古屋駅周辺が大きく変わる

名古屋鉄道が社運をかけて挑む、名駅地区の再開発。
新ビルの商業施設に名鉄百貨店が入居するかどうかは「検討中」としていますが、名古屋駅周辺ががらりと変わることになりそうです。
多くの人が乗り降りする名鉄名古屋駅は、岐阜や知多半島、愛知県東部などに延びる鉄道路線が発着する名古屋の玄関口です。
駅に直結するビルには、名鉄百貨店や名鉄グランドホテルなど、名鉄系の商業施設が多く並びます。
年始の初売りや、屋上の開放的な空間で夏を楽しむ“ビアガーデン”。そして“名駅の顔”として愛される「ナナちゃん人形」など、買い物や旅行で名古屋を訪れる人たちの思い出を彩ってきました。
コロナ禍で計画が見直しに

一方、ビルは老朽化が目立ち、再開発計画が注目されていました。
2017年には、当時の安藤隆司・名鉄社長が …。
「リニア中央新幹線開業のインパクトを新たなステージに飛躍する最大のチャンスと捉え、需要を確実に取り込み、名駅名古屋駅地区の再開発に取り組む」
名鉄は2017年3月、名鉄百貨店などが入る6棟のビルをまとめて再開発する南北400mの「巨大壁ビル」の構想を発表。
リニア中央新幹線の開業を見すえ、2022年度着工、27年度中の完成を目指すとしていました。
ところが、計画を大きく狂わせたのが「コロナ禍」。
「巨大壁ビル構想」の発表から3年半後の2020年11月、名鉄は「オフィスなどの需要が見通せない」として、再開発計画の見直しと着工の見送りを発表。
再開発を急ぐ理由の一つだったリニアの開業見通しも後ろ倒しとなり、計画の行方が注目されていました。
利用者は何を期待?

再び動き出す名鉄の再開発計画。
資材費の高騰が逆風になるほか、あてこんでいたオフィス需要も栄地区などで相次ぐ新ビルとの奪い合いになりますが…。
「私どもとしては特におくれをとっているという感じは持っておりません。リニア開業に合わせて駅周辺が整備されることとスケジュールを合わせながらやっていきたい」(名鉄 高崎社長)
利用者は現状をどうとらえているのでしょうか。
「栄のほうが女子高生が多いイメージがある」
「大人数でしゃべったりとかできる場所が栄のほうが多いという印象がある」
「なんでもある都会で楽しい。けど迷うね。地下で迷う。目的地の直前で道案内が消える。さっきもトイレで『あれ?なくなった』って。この先が知りたいのに」(観光客)
ようやく動き出す名鉄名古屋駅周辺の再開発計画。期待する変化は?
「近鉄パッセに久しぶりに入ったけど、昔と違って人が少なくて、寂しかった。学生の頃にお店使っていて、そのころに比べて若い子も少ないのかなというイメージ。娘が大きくなってお友達と遊べる場所があるといいなと」(利用者)