熊本で120店舗展開「お弁当のヒライ」成長の秘密は社長に届く消費者の声 改善点を店にフィードバック

熊本県には知らない人がいないというほど人気で客が絶えない総菜チェーン店があります。根強いファンをどう獲得しているのか、その戦略を取材しました。
九州第3位の規模を誇る「ヒライ」

九州第3位の外食企業として知られる「ヒライ」は、ファミリーレストラン「ジョイフル」やとんこつラーメン「一蘭」に次ぐ売り上げを誇ります。熊本県内に120店舗、九州全体で200店舗以上を展開するヒライは、弁当や総菜の豊富な品揃えとリーズナブルな価格で地域の人々に愛されています。
店内で調理される出来たて弁当

ヒライの弁当は注文を受けてから店内で調理されるため、出来たてのおいしさが人気です。価格も500円から600円台と手頃で、一番人気の「自信南蛮弁当」は特にボリュームが魅力です。時間がない人のための作り置き弁当も豊富です。

ヒライはこれまでに100種類以上の総菜を開発。特にちくわの中にポテトサラダが入った「ちくわサラダ」は熊本県民のソウルフードとして、1日に7000本売れるほどの人気の一品です。
食の「三刀流」の強み

ヒライの強みは“食の三刀流”。弁当・総菜コーナー、イートインコーナー、そしてコンビニのような食品売り場の3つのエリアが一体となっている点です。うどんやカレー、丼ものも提供。これにより、さまざまな客へのニーズに対応できるようになりました。中には「(量が)多いし、安いので最高」とのうれしい声も。

もともとヒライは総菜店として創業。1980年代以降、ファミレスやコンビニとの競争の中で、顧客の声に応えようといまの形に変化しました。ヒライの平井浩一郎社長は、毎月200通届くアンケートを確認。各店舗にフィードバックして、顧客の要望に応える店作りを続けています。
ヒライ 平井浩一郎社長:
「食事の場所も客からリクエストがあり、3つがたまたま出来上がっていきました」

そうした客からのアンケート内容をもとに、女性専用のイートインスペースを設置した店舗もありました。繁華街の店舗は、来店客の7割が女性。郊外店とは違う、新たな形態を模索します。

2014年5月期には130億円だった売り上げは188億円に。10年前に比べて、売り上げが1.4倍に増加しました。ヒライは今後も店舗数を倍増し、500店体制を目指してさらなる成長を図ります。
日本経済新聞社 近藤康介記者:
「4年後をめどに、ほぼ倍増となる500店体制を目指すヒライ。食の三刀流を貫きながら、顧客の要望を店作りにどこまで反映できるかがカギになります」