
原因は“赤色“の可能性も 目がかゆい・肌に発疹が…医師に聞く「着色料アレルギー」の対処法

特定の色をした食品を食べたり、化粧品を使うと目がかゆくなる・肌に発疹ができるなどの症状が出たことはないでしょうか。もしかしたら、それは「着色料アレルギー」かもしれません。

アレルギーと聞くと、真っ先に“小麦”や“ナッツ”などの食べ物を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、アレルギーを引き起こすのは食べ物だけではありません。
私たちが普段から食べている加工食品には、さまざまな食品添加物が含まれています。着色料は食品添加物の一種で、食品を鮮やかにする目的で添加されています。
中でも、着色料の原料としてよく使用されている 「コチニール色素」があります。「コチニール色素」は南米原産のカイガラムシという昆虫から抽出される赤色の天然着色料のこと。
どのような色素なのか「藤田医科大学 ばんたね病院 総合アレルギー科」の矢上晶子教授に話を伺いました。
「コチニール色素や加工されたカルミンは鮮やかな赤色で、食品(化粧品) に広く使用されています。抽出物中には、ごく微量のカイガラムシ由来のタンパク質が残存しており、それが即時型のアレルギーの主な原因になることが知られています。またカルミンを配合する化粧品では遅延型のアレルギー(いわゆるかぶれ)になることもあり、どちらのアレルギーを発症するかは、人によって異なります」(矢上教授)
「コチニール色素」が使用されている商品

筆者もピンク系の化粧品を使用した際に、目がかゆくなることが何度かあり、5年ほど前にコチニール色素の「着色料アレルギー」と診断されました。
では、どのような商品に含まれているのでしょうか。
「化粧品ではコチニール色素を加工した『カルミン』が配合され、アイシャドウ、口紅、頬紅などに多く含まれます。食品では『コチニール色素』がハム、赤いウインナー、ソーセージ、かまぼこ、いちご牛乳、グミなど赤やピンクの食品に多く使用されています。さらにうなぎのたれ、羊羹、サーモンやマグロの加工品など、見た目ではわかりにくい食品にも含まれていることがあるため、成分表示の確認が大切です」(矢上教授)
成分表示の確認方法については、以下の記載がされている場合に「コチニール色素」や「カルミン」が含まれているといいます。
・食品の場合=コチニール色素、カルミン酸色素
・化粧品の場合=カルミン
・海外の食品や化粧品=E120、クリムゾンレーキ、ナチュラルレッド4、C.I.75470
症状は?
コチニール色素でアレルギー反応が出た場合、即時型アレルギー(I型アレルギー)と遅延型アレルギー(IV型アレルギー)の2タイプの症状があるそう。
即時型アレルギーは、カルミンが配合された化粧品の使用により、皮膚からカルミンが浸透することで、使用部位に赤みやかゆみ(接触蕁麻疹)が起こります。
症状は通常、化粧品を洗い流した後、数分~15分程度で自然に改善するといいます。
しかしコチニール色素が含まれた食品を摂取した場合は、直後から数分後に、著しいまぶたの腫れやかゆみ、全身の蕁麻疹、呼吸困難などが起こることがあるそう。重症の場合は、アナフィラキシーショックとなり救急搬送されることも。
遅延型アレルギーは、主にアレルギー性接触皮膚炎(いわゆるかぶれ)のことで、化粧品を塗布するたびに塗布した部位に数時間から翌日以降に湿疹、かゆみが起こります。数日間症状が続くこともあるそうです。
着色料アレルギーと思ったら

自分が着色料アレルギーかもしれないと思ったとき、どのような検査をすればいいのでしょうか。
「即時型アレルギーでは、皮膚に試薬を置き、針で軽く刺して反応を見るプリックテストが行われます。また保険適用外ですが、研究用の血液検査も参考にされることがあります。遅延型アレルギーであるアレルギー性接触皮膚炎では、使用して症状が起きた化粧品やカルミン(試薬)を使って、48時間皮膚にそれらを閉塞貼付して反応を見るパッチテストを行います。保険が適用されますので、まずは皮膚科を受診してください」(矢上教授)
診断後は、化粧品では「カルミン」、食品では「コチニール色素」「カルミン酸色素」などの表記がある製品か確認しましょう。海外から持ち込まれたものでは、表記が異なる場合があるので注意が必要です。
すぐに検査できない場合でも、化粧品を塗布した部位に赤みやかゆみが出たり、食品摂取後に蕁麻疹などの症状が出たりしたら、症状の出た化粧品は使用を控え、食品も食べないようにしてください。着色料アレルギーかなと思ったら、なるべく早めに皮膚科やアレルギー専門医の診察・検査を受けましょう。
成分表示を確認する習慣をつけ、症状の再燃を回避することが大切です。
(メ~テレ 飯田莉穂)