「今が銀行見直しのタイミング」専門家 さらに追加利上げの可能性 攻勢を強めるネット銀行VS大手銀行

長く続いたマイナス金利政策も2024年に終止符が打たれ、金利が上昇しています。10月にも追加利上げの可能性があります。今、この局面はお金を預ける銀行について考え直すタイミングでもあります。
金融政策に詳しい東洋大学の野崎浩成教授に銀行の選び方について話を聞きました。
政策金利は0.75%に?

野崎教授は、今後の政策金利について「日銀が、トランプ関税の影響が軽微だと確認できたら、早くても10月末の金融政策決定会合で政策金利を0.25%追加し、0.75%になるのではないか」と予想しています。
利上げをすると、銀行に預けた金利が上昇するというメリットがある一方、住宅ローンなどの金利負担が増えるデメリットもあります。預金の金利がアップしていることについて考えていきます。
頻繁に使う銀行口座を見直してみる

野崎さんによりますと物価高の今、金利が上がったこのタイミングで定期預金や投資信託などでうまく資産運用をして、お金を増やすことで現在の生活を守っていく必要があるとしています。
ただ資産運用はリスクがあるので、敬遠している人も多いと思います。そこで、野崎さんは「銀行口座を預金金利や、ポイント等のメリットで選択してみては?」と提案しています。

というのも今、各金融機関はあの手この手で、顧客の獲得に動いています。まずは、店舗を持たないネット銀行から見ていきます。
例えば、「SBI新生銀行」「セブン銀行」「ローソン銀行」のATMでの出金手数料が月5回まで無料。給与振り込み口座に設定などさまざまある条件のいずれかを満たすと、回数無制限でATMの出金手数料が無料になります。
さらに、ネットでの他行への振り込みも条件によっては、最大10回まで無料となります。

次にPayPay銀行、預金額で金利が変わります。普通預金の金利は0.2%。これは大手の金利と同じです。ですが、29歳以下は10万~、30歳以上は50万~の預金で金利は0.3%に。100万~1000万(29歳以下)200万~1000万(30歳以上)は、0.4%の利息が付きます。利息をポイント受け取りにする場合は、ここにそれぞれ0.1%プラスされます。
実店舗を持つ従来の銀行は顧客獲得のために、どんな対策をしているのでしょうか? その一部を紹介します。
三井住友銀行は独自のポイント制度に

三井住友銀行では、銀行取引や三井住友のクレジットカードの利用で独自のポイントを貯めることができ、貯まったポイントは使うことができます。今後、PayPayとも連携して、PayPayポイントにも交換できるようになる予定です。

また、みずほ銀行は楽天カードと提携して楽天カードの利用額によって他行への振込手数料が割引になったり、ATMの時間外手数料が無料になったりします。
大手銀行は、ネット銀行を傘下に持つ、ソフトバンクグループ、楽天グループといったところとも手を組むことで、消費者の日常的な経済活動や消費活動の中へ進出し、これまでの顧客が離れていかないようにして生き残りを図っているといいます。
野崎さんによりますと、ソフトバンクや楽天グループも大手銀行との連携は安定した資金調達ができるので、「双方にとってウィンウィンである」ということなんです。
どのサービスが、自分の生活に合うのか

野崎さんは最後に「金利がプラスになり、各銀行のサービス合戦が活発になっている今こそ、改めてどの銀行を使うか、どのサービスが自分の生活に即していてメリットを最大限、享受できるのかを考え直してほしい」と話していました。