
トヨタのランドクルーザーを改造、アフリカでのワクチン輸送に役立てる 結核診断のシステムの搭載も検討

2025年8月下旬にパシフィコ横浜で開かれた「TICAD 9」(第9回アフリカ開発会議)。会場で注目を集めていたのは、豊田通商のブースで展示されていたトヨタ「ランドクルーザー」を改造したクルマです。未舗装道路の多いアフリカでのワクチンの輸送に役立っているといいます。

豊田通商 モビリティ企画部 大橋勇太さん:
「車内にワクチン専用の冷蔵庫を搭載しています。バッテリーを搭載しているので、冷蔵庫単体で16時間、ワクチンの保冷を継続できます」

ワクチン輸送の課題は温度管理。熱に弱いワクチンを低温に保ち、さらに悪路でも走行できるワクチン輸送車両です。
結核の診断ができるシステムを搭載

また、患者が診療所に行かなくても現地で結核の診断ができるシステムの搭載や、この車両を使った医療廃棄物の回収システムの構築を検討しています。

豊田通商 大橋さん:
「アフリカ自体が今、子どもの数が世界でも非常に多い地域です。その子どもの命を守るという意味でも、保健衛生の分野は非常に重要な課題と認識しております」
クルマ関連事業のみならず、再生エネルギー事業も手がける

豊田通商は、1922年にウガンダで綿花の取り扱いを始めたのを皮切りに、グループとして170年以上、アフリカの地に根付いてきました。展開するのは、クルマ関連の事業だけではありません。アフリカ全土に広げてきたネットワークを生かし、エジプトではアフリカ最大の風力発電所を保有・運営。チュニジアやサブサハラ地域では、太陽光発電、ケニアでは地熱発電と、地域に合わせた再生可能エネルギー事業も手がけています。

豊田通商 アフリカ本部 大塚慎一郎 COO:
「とてつもないオポチュニティー(機会)があると思いますので、地球のカーボンニュートラルの促進のために、アフリカの再生エネルギーは大きな役割を果たせると信じています」

アフリカというビジョンを掲げる豊田通商。2050年には人口が25億人を超えると言われるアフリカの若い世代の人材育成にも、力を入れています。
豊田通商 大塚さん:
「アフリカで仕事をさせていただいて『利益を上げるからいいでしょう?』ということは全くございません。アフリカの人々の幸せ、それからアフリカの国々の発展。そういったことを共創していく、作っていくことを大切にしています」