「毎日が文化祭前日」カフェ・インテリア・工務店など6事業を“掛け算”で売上高20倍 従業員はワクワク

多くの町工場が立ち並び「ものづくりの町」として有名な大阪、八尾市。そこにある元町工場の友安製作所が、カフェや貸しスペース予約サイトなど、製造業とは分野の異なる事業を次々と立ち上げ、売り上げを大幅に伸ばしています。「売れる」仕組みに迫りました。
インテリアショップとしての魅力

大阪市内に位置する「友安製作所 Cafe&Bar阿倍野店」は、有名建築家の作品をリノベーションした建物にあります。店内のテーブルや天井の照明には値札が付いていて、カフェで使用されているテーブルや照明アイテムはそのまま購入可能です。

カフェの階段を上がると、2階はインテリアショップに。バイヤーが集めた世界各国の珍しい品々が並びます。
友安製作所 友安啓則社長:
「インテリアショップって入りにくい。カフェだと老若男女、みんなコーヒーを飲みに入ってきます。そこで『見て』『試せて』『買える』。『壁紙って1万円で買えるんだ』って気づいてもらいたいです」
友安製作所の多角化戦略

友安製作所の本社は町工場が多い八尾市にあります。もともとはカーテンフックをつくる町工場でしたが、3代目社長の友安啓則さんが多角化戦略を進め、売上高は2004年1月期の1億3600万円から2025年1月期には30億円(見込み)に。ここ20年で20倍以上に成長しています。

インテリアのECやカフェ、工務店、貸しスペース予約サイト、まちづくりなどの6つの事業を展開し、それぞれがシナジーを生んでいます。
友安製作所 友安社長:
「1本の大きな柱よりも、色んな事業を細く立ちあげて、その細い柱同士をしっかり結んであげることによって、一種の経済圏のような形でつくっています」

例えば、貸しスペース予約サイトを利用する会社が会議室のリノベーションを依頼すると、インテリアECや工務店事業が応えます。自社工房でつくるデザイン家具も使用し、「友安ブランド」製品の魅力が強みとなっています。
また、まちづくり事業では企業の「跡継ぎ」が会社を継ぐ際のコンサルティングも行い、それに伴う会議室の改装や新社屋の設計も受注しています。

創業90年を超える自動車部品メーカーの代替わりの際にも、友安社長が自らの経験をもとにコンサルティングしました。これをきっかけに、会議室の改装も受注。さらに制服のデザインや、新社屋の設計まで任されたのです。
ミナミダ 4代目 南田剛志社長:
「すべて(社屋・HP・制服のデザイン)が一貫してないと、『おや?』と思ってしまうので」

日本経済新聞社 高橋圭介支局長:
「いろいろなことをやっていると、本当に多様な人が集まってきます。従業員の言葉で印象的なのが『毎日が高校の文化祭の前の日みたいだ』と。つまりワクワクしているんです。0から1を生み出す『ゼロイチ人材』もたくさんいるので、それが活力の源になっているようです」

友安製作所 友安社長:
「いつかはホテルをつくっていきたい。非日常をお客様に味わっていただいたあと、ご自身のおうちにそれを反映していただけるような仕組みを考えていきたいです」