嘘と借金の病気「ギャンブル等依存症」20代・30代男性で増加傾向 背景にスマホでオンラインギャンブル

生活費をつぎ込むなどギャンブル等にのめり込んでコントロールができなくなる精神疾患の1つ「ギャンブル等依存症」。有効な治療薬はなく、完治が難しいともいわれています。愛知県の調べでは、ギャンブル等依存症と疑われる人は県内に約12万人いるということです。

1月30日は、依存症の対策について話し合う会議が開かれました。この会議は、ギャンブル等依存症の発症を防止するための対策などについて、関係機関が連携して取り組むことを目的に毎年開かれています。
会議では、対策としてボートレース場で研修講座を開催したことや、大須商店街で啓発動画を放送したことなどが報告されました。委員からは「県立高校で依存症の教育をしたほうがいいのでは」などの意見が出ました。
愛知県では、依存症に関する相談件数が増加していて、こうした意見をもとに支援策を検討し、対策を推進していきたい考えです。

この会議には、医療行政や法律家、自助グループ、ギャンブルを提供する側といったさまざまな人が参加しています。実際に委員として出席している精神保健福祉士の内藤千昭さんに話を聞きました。
――今回の会議はいかがでしたか。
「いま、愛知県がさまざま取り組みをしているので、その内容の報告が行われました。その後、委員の中でいろいろな情報交換やディスカッションをしました。しかし、時間の枠が1時間なので非常に短く、十分なディスカッション等ができなかったのが、個人的な感想としてあります。
もう少し時間を長くするか、年1回行っている頻度を少し増やしていただく機会があるといいなと思います」
ギャンブル等依存症は“嘘と借金”の病気

――どのような症状が「ギャンブル等依存症」と考えたらいいでしょうか。
「嘘と借金の病気、といわわれています。ギャンブルによって借金をはじめ、日常生活に支障が出てきたら依存症かもしれないと疑っていいと思います」
――実際に愛知県内で相談件数が増えているとのことですが、内藤さんのクリニックでも相談件数や患者数は増えていますか。
「増えています。2018年から、特に最近の2年、3年は格別に増えている印象があります。特に20代から30代の若い男性が多いです。借金額も、かつてはパチンコ、パチスロなどで100万単位の方が多くいましたが、いまはオンラインギャンブルもあるので、1000万円単位の借金がある方が増えています」
スマホ1つでギャンブルが可能

――若い人が多い理由は何が考えられますか。
「スマホで簡単にオンラインギャンブルができるところだと思います。いつでもどこでも、仕事のスキマ時間にもギャンブルができてしまう。若い人が手に出しやすい環境があります。借金も、現地に行かずスマホ1つで簡単に借金ができてしまいます。
また数字だけが動いていて、借金をしている感覚があまりないというのも理由の1つです。スマホがあることによって、若い方が増えているのではないかと」
ギャンブル等依存症になってしまったら?

――もしギャンブル等依存症になってしまった場合、どうすれば良いでしょうか。
「『相談機関』『治療期間』『自助グループ』の3点が必要です。まずは精神保健福祉センター等に依存症の相談へ行き、依存症の専門医療機関を選んで治療を行っていただきたいです。そして自助グループに参加する。当事者が集まる『GA(ギャンブラーズ・アノニマス)』と、ご家族の方向けの『ギャマノン』という集まりがあります。“否認の病”なので、ご家族の方だけでも1日でも早く活用していただきたいです」
――“否認の病”とは、自分が「ギャンブル等依存症ではない」と主張することでしょうか。
「そうです。自分が依存症であることを認められなかったり、ギャンブルに問題があると思うのが難しかったりします。ご家族の方だけでも、困った人から1日も早く相談をしていただきたいです」