三重を代表する祭り「きほく燈籠祭」が存続の危機に 巨大な燈籠と色鮮やかな花火が競演

26 日に開かれた、巨大な燈籠と色鮮やかな花火が競演する三重県の南部・紀北町の「きほく燈籠祭」。三重県を代表する祭りの1つですが、いま、存続の危機に立たされているんです。
7月中旬、紀北町では「きほく燈籠祭」の準備が佳境を迎えていました。
人の背丈を超えるほどの大きな骨組みに、布を縫い合わせていく人たち。
きほく燈籠祭は今から100年近く前、町の川開き行事として、地元の若者たちが川に大きな燈籠を流し、豪華さを競い合ったことから始まりました。
一時、予算不足などの理由で中止した期間もありましたが、1987年、若者たちが立ち上がり復活。町に再び光が灯りました。
再び存続の危機に…

若者たちによって始まり復活した祭りですが、いま再び存続の危機に。
現在、燈籠制作の要を担っているのは、30年以上、祭りに関わってきた人たちです。
「若者が減ってきている町なので、徐々に実行委員の人数も減ってきてしまっているのが現状」(紀北町燈籠祭 実行委員長 北村孝史さん・42歳)
紀北町の人口はここ数年で減少が続き、現在は約1万3000人。
祭りの運営や燈籠作りに携わる実行委員会のメンバーも、年々減っているといいます。
「実行委員会で若い人は3人くらい。若い人がいなくなっているので、続けていけるのかどうか気になっています」(紀北町燈籠祭 実行委員 井谷祐也さん・19歳)
祭りを途絶えさせない活動を続ける

寄付金も年々減り、予算の面でも苦しいのが現状です。
9月には大阪・関西万博での出展が決まっている「きほく燈籠祭」。
三重県を代表する祭りを途絶えさせないよう、実行委員会では、地元の小中学生に燈籠づくりを教えるなど、活動を続けてきました。
「昔からつながっている祭りを僕の代で終わらすのも嫌だし、続けていきたいという気持ちはありますね」(北村さん)
祭り当日。3カ月をかけて高さ5.3m、全長9m、重さは1tにもなる大燈籠が完成しました。
訪れたのは、町の人口をはるかに超える約5万人。
中には――
「ウィー フロム タイワン!」(台湾から)
国内外から観光客が集まるなか、いよいよ始まります。
今年も夜空に約3000発が打ちあがる

みんなで作り上げた大燈籠に、光が灯りました。
そして、祭りは一番の見せ場へ。
「みなさん、一緒にカウントダウンをお願いします」(北村さん)
実行委員長の北村さんが会場に呼びかけ、孔雀が羽を広げたように打ちあがる「彩雲孔雀」が会場を彩りました。
「燈籠祭は紀北町を代表する祭りだと思うので、それを続けていけるような体制はとってほしいと思う。若い子にどんどん携わっていただいて、戦力になってもらって、友達とかも呼んできてもらって、どんどん人数を増やしてもらえたら」(北村さん)
若者たちによって始まり、そして復活した「きほく燈籠祭」。
今年も、夜空に約3000発が打ちあがりました。