【分析】自衛隊機墜落事故 当時の“音”からわかる状況とはー 3日目も搭乗隊員2人の安否は不明、救助活動続く 愛知・犬山市

航空自衛隊の練習機が愛知県犬山市の入鹿池に墜落してから3日目。現場近くの防犯カメラには、事故が起きた時間に“衝撃音”が記録されていました。私たちはこの音の詳しい分析を専門家に依頼。そこから見えてきたある可能性とは。

航空自衛隊の練習機が墜落してから3日目となる16日。新たにエンジンとみられるものやタイヤなどが発見されました。しかし、搭乗していた29歳と31歳の男性隊員2人の安否は未だわかっていません。
16日は、これまでで最大規模の、のべ600人体制で懸命な捜索活動が続けられています。

防衛省によりますと、14日午後3時すぎ、宮崎県の新田原基地所属の練習機T-4が、小牧基地を離陸してから約2分後、レーダーから消失。
機体は、離陸してから1分ほどは安定飛行していましたが、その後、高度1400メートルで旋回する中で急降下して墜落したということです。
緊急脱出の際に出る信号は確認されていません。

現場近くの店舗に設置された防犯カメラの映像。
航空機がレーダーから消失した午後3時8分ごろ、異様な音が店内に響き渡りました。

この音は、航空機の墜落に関連するものなのか?音響分析を行う専門家に調べてもらうと。
日本音響研究所 鈴木創さん:
「トン・トン・ダーンという形。600メートル離れたところでも、これだけ大音量なのでおそらく現場では、とてつもない衝撃音が起こっていたと思います。これは雷よりも大きい音で、とてつもないごう音です」

専門家によると、落雷のような大きな音の前に小さな音が2つあるといいます。これは一体…?
日本音響研究所 鈴木創さん:
「墜落した練習機が何か水面に引っかかって、水切り石のようにちょんちょんとはねて最後に大破したか、羽の一部をひっかけて、回転するようなかたちになって水面にたたきつけられたとか そういうことが推測できる音」
未だ隊員の安否や事故の原因がわからないまま迎えた3日目。
“墜落時の音”から分析 ー当時の状況はー

隊員2人の捜索は今も続いていますが、自衛隊機がどう飛行したか少しずつわかってきています。
これまでに、午後3時6分に小牧基地を離陸し、約1分間は安定飛行。その後、旋回したときに高度1400メートルから急降下がわかっています。
レーダーから消えた離陸2分後の3時8分。まさにこの時間の大きな音の記録が、600メートル離れた貸しボート店で見つかりました。

この音から何がわかるのでしょうか。
専門家の分析がこちら。
■3時8分の大きな衝撃音(波形図③)は、爆発音か衝突音かはわからないが、雷が落ちたときに間近で聞く音より大きい。近くにいたら難聴になるレベル。
■その前の2回の小さな音(波形図①と②)は、水面に羽が接触した音の可能性がある。
専門家によると、この一連の音について、原型をとどめたまま水面に接触した後で、墜落による大きな衝撃があった可能性があるということです。

現場から1キロ離れた別の防犯カメラに記録された衝撃音も分析してもらいました。
一番大きな音が波形の③の部分です。こちらの波形ではとくに黄色の円で囲まれた部分に注目したといいます。
右肩上がりの横一線に見える波形です。専門家によりますと、エンジン音ではないかと分析しています。このことからも機体は原形をとどめたまま水面に突っ込んだかとみられています。

別の専門家、元航空自衛隊の松家秀平教授(千葉科学大学)によると、もし空中で大規模に爆発したなら、広範囲に部品が飛び散るはずだが、映像を見る限り、墜落現場から広い範囲に部品や破片が飛び散ってない。爆発したとしても、空中ではなく水面か水中でないかということです。
実際の捜索でも、池から大きく外れた場所などに散らばっているという情報は現在までにありません。
現場に残された音が事故の真相解明につながるかもしれません。