
メガバンク並み高水準に…初任給を30万円へ大幅引き上げの“第二地銀” 先輩との”逆転”は?就活生から不安も


2025年の春闘の集中回答日となった3月12日、トヨタ自動車が満額回答で妥結するなど賃上げの動きが広がっています。また、人材を確保するため、新卒採用者の初任給の大幅アップに踏み切る企業も相次いでいます。
■物価高の中…トヨタは5年連続「満額回答」
業績が好調なトヨタ自動車は、12日の労働組合との協議で、過去最高水準となった2024年と同様の組合要求に対して、総額で満額回答しました。組合側の要求に対する満額回答は5年連続です。 トヨタ自動車の佐藤恒治社長: 「『もっといい車をつくろうよ』『もっとみんなで働こうよ』、労使でこう言い合える会社を作っていきましょう」

トヨタ自動車・労働組合の鬼頭圭介執行委員長: 「満額回答いただけたことについては、組合員の1年間の努力がしっかりと会社に評価していただけたということだと思っております」 集中回答日を迎えた2025年の春闘では、トヨタグループのデンソーとアイシンがすでに組合要求に満額回答したと発表し、JR東海も過去最高のベースアップを決めるなど、東海地方で大きく賃上げをする企業が相次いでいます。
■初任給"6万円アップ"…先輩との"逆転"は?
新卒採用者の初任給を引き上げる動きもあります。 名古屋銀行は、今の初任給を6万円引き上げて、2026年春から30万円とする方針を発表しました。初任給引き上げは4年連続で、メガバンク並みの高水準となります。

新卒社員の賃金を引き上げる「事実上のベースアップ」ですが、背景にあるのは物価高に加え「人材確保」の目的です。 名古屋銀行・人材開発部の鈴木克典部長: 「関東・関西や大手企業と対峙するような学生、競合するような学生を、名古屋銀行を強くするために確保していく必要がある」 帝国データバンクによりますと、2025年4月に入社する新卒社員の初任給を、企業の7割ほどが「引き上げる」と回答しています。

東海地方でも、名鉄が2026年春に入社する総合職の初任給を1万円引き上げるなど、初任給を引き上げる動きは全国的に相次いでいます。 就活生からは歓迎の声の一方で、新入社員と既に在籍する先輩社員、特に年次が近い若手と逆転しないかと不安の声もあります。 2人組の大学1年生: 「多ければうれしいなって思います」 「けっこう給料大事なので、そこも考えて就職先を決めたいなって」 大学3年生: 「新卒の賃上げをしたらその分、上の世代の方のベースアップも必要になってくるのかなと思うので」 初任給の大幅アップに、現役の行員はどう思っているのでしょうか?

営業担当で入行11年目の工藤さんは…。 入行11年目の工藤さん: 「うらやましいなと思いますけど。給料が上がることで普段の生活にも直結して、仕事を頑張ろうというモチベーションにつながるかなと思います」 入行2年目の武田さんの初任給は22万5000円でした。 入行2年目の武田さん: 「よっぽど逆転は起こらないように調整すると銀行側から言われているので、そこはしっかりやっていただければうれしいなって」 会社側は、新入社員との給与額が逆転しないよう対応するとした上で、持続的な賃上げを目指すとしています。 名古屋銀行・人材開発部の鈴木克典部長: 「初任給の引き上げによって、他の層の賃上げ率に悪く影響するようなことは一切ございません。名古屋銀行で働くことで世の中に貢献できる、地域に貢献できるという従業員をしっかりつくっていきたい」 初任給の引き上げが企業に広がる中、幅広い世代の賃上げが今後も進むのか、注目されています。