「目指すは総合飲料メーカー」日本酒「男山」が手掛けるのはビールやラテなど日本酒以外の商品開発

日本酒のマーケットが縮小する中、北海道の老舗酒蔵が売り上げを維持するため、日本酒以外の商品開発に挑戦しています。

旭川で130年の歴史を誇る酒蔵「男山」。忠臣蔵の赤穂浪士が討ち入り後に飲んだ「男山」の名を継承するこの酒蔵が、2025年に新商品「どさんこレモンサワー」で大行列を作りました。
酒蔵開放イベントで話題の新商品

毎年恒例の酒蔵開放イベントでは、地元客や観光客で賑わいます。2025年は特に「どさんこレモンサワー」が注目されました。「どさんこレモンサワー」は、日本酒とレモン果汁を合わせたもの。元禄時代の古文書を参考にした特別甘い「復古酒」を使い、砂糖を使わずに自然な甘みを出しています。イベント会場で用意された800本は、1時間ほどで完売となりました。
新たな飲料市場への挑戦

男山の5代目である山崎五良(ごろう)取締役は、“地方版総合飲料メーカー”を目指して日本酒以外の新商品開発に力を入れています。男山の日本酒の生産量はピーク時の3年前と比べて5分の1。売り上げも6割以上減少しています。

そこで、日本酒の仕込み水を使ったクラフトビールや炭酸水、クラフトジンなどの新商品を次々と発売しています。
横断プロジェクト「やってみるべ部」の役割

新商品の開発には、製造、営業、広報などが参加する横断プロジェクト「やってみるべ部」が取り組んでいます。同プロジェクトは現在、新しいクラフトジンの開発を進行。ビンのキャップやパッケージの選定など、細部にわたる準備が行われています。
コメを活かした革新的な商品

男山はコメからアルコールと糖を生成する技術を活かし、ライスラテなど新たな飲料を提供しています。ライスラテは、復古酒を蒸留して残った液体を煮詰めたシロップと牛乳を混ぜて作られていて、コーヒー牛乳のような味わいです。また、蒸留で得られたアルコールはクラフトジンとして販売されています。

山崎取締役:
「僕らはコメから日本酒を造っているんですけれど、言葉を変えるとコメからアルコールと糖をつくれるんですよね」
男山は今後、日本酒以外の製品で3年後に1億円の売り上げを目指します。
日本経済新聞社 岩本陽一 旭川支局長:
「売店で取り扱う飲料のラインナップは日本酒以外の製品が次々に加わる予定です。140年近い歴史を持つ日本酒メーカーがこれからどう変わるのか。伝統にとらわれない柔軟な発想で、日本酒マーケットの縮小という逆境に立ち向かおうとしています」