
“トランプ関税”で波乱の自動車決算 トヨタも大幅減益 東海経済の今後に専門家「楽観はできず」

トランプ関税で大幅減益や赤字転落が相次ぐ自動車業界。7日、最大手のトヨタ自動車が最新決算を発表しました。

アメリカのトランプ政権は4月、輸入自動車に25%の追加関税を発動しました。
日本からの輸出車には現在、もともとの関税とあわせて27.5%の関税がかけられています。日米両政府は7月、自動車関税を15%に引き下げることで合意しましたが、もともとの関税と比べれば負担は6倍に。さらに、引き下げの時期は、いまだ不透明です。
こうした状況が、日本の自動車メーカーに大打撃を与えています。追加関税の発動とタイミングが重なる4月から6月までの決算では、日産自動車は関税によるコスト増加などを背景に、純損益が1157億円の赤字に転落。岡崎製作所でつくる車をアメリカに輸出する三菱自動車も、去年は294億円あった純利益が、わずか7億円に激減しました。
アメリカでの販売が3割を占めるマツダも、純損益が421億円の赤字に転落。ホンダは6日、追加関税の影響で営業利益が1200億円あまり押し下げられ、純利益が去年から半減したと発表しました。
衝撃的な決算が相次ぐことについて、自動車業界に詳しい専門家は。
「全般的な印象は、関税のコストが相当重たいなと感じた。関税をのせた業績の健全性がもう1回問われる第1四半期の決算だった。総じて厳しかったなというのが実感」(東海東京インテリジェンス・ラボ 杉浦誠司 シニアアナリスト)
トヨタも大幅減益
各社が大打撃を受けるなか7日、トヨタ自動車が4月から6月までの決算を発表しました。
昨年度の業績を発表した5月の会見では、発動直後のトランプ関税について…。
「とにかく軸をぶらさずに、ジタバタせずに、しっかりと地に足をつけてやれることをやっていく」(トヨタ自動車 佐藤恒治 社長)
としていましたが、4月から6月までの決算は、売上高は去年の同じ時期より3.5%多い12兆2533億円だったものの、純利益が去年より36.9%少ない8413億円と、大幅な減益となりました。
要因はやはりトランプ関税です。この3カ月だけで営業利益が4500億円押し下げられたとしています。
「4500億円の関税コストということだから、中堅自動車メーカーの1年分の関税コストが、この第1四半期にのしかかった」(杉浦シニアアナリスト)
トヨタは今期の関税影響が1兆4000億円に上るとし、業績予想を修正。純利益は当初見込んだ3兆1000億円から、2兆6600億円になりそうだとしています。
決算の発表後、トヨタの株価は下落。前日より41円安い2680円で7日の取引を終えました。
トランプ関税は今後、東海経済にどう影響するのでしょうか。
「サプライヤー(部品メーカー)にダイレクトに関税コストが、まるまるコストとして悪影響を及ぼすということではないと思う。その代わり、ある程度コストダウンの要求が出てくる可能性はあると考えているので、決して楽観はできない状況」(杉浦シニアアナリスト)