トランプ政権「テキサス新幹線」補助金打ち切り 専門家「新幹線輸出は産業の裾野拡大に必要」

JR東海は30日、2024年度1年間の決算を発表しました。東海道新幹線の利用者が増えたことや、百貨店の売上が伸びたことで、過去最高の純利益となりました。一方、技術支援するアメリカの「テキサス新幹線」について、トランプ政権が補助金の撤回を決めたことに対し、丹羽社長は影響を注視する考えを示しました。
JR東海 2024年度決算は増収増益 純利益、運輸収入が過去最高

JR東海が発表した2024年度1年間の連結決算は、前の年度と比べ、売上高が7.1%増の1兆8318億円、最終的なもうけを示す純利益は19.3%増の4584億円で、増収増益でした。東海道新幹線の利用者が増え、運輸収入が過去最高になったことや百貨店の売上が伸びたことなどから、純利益は過去最高となりました。
「テキサス新幹線」はトランプ大統領が補助金を撤回

一方、JR東海が技術支援をするアメリカの「テキサス新幹線」について、アメリカ側が約91億5000万円の補助金の撤回を発表したことを受けて、丹羽社長は次のように話しました。
JR東海 丹羽俊介社長:
「影響についてこれは現時点で不明なので 状況を注視していきたい。いずれにしてもプロジェクトの状況に応じて、必要な技術支援を行っていく方針には変わらない」
「テキサス新幹線」は、テキサス州の主要都市ダラスとヒューストンの間の約380キロを1時間半で結ぶ計画です。しかし、アメリカのトランプ政権が補助金の打ち切りを発表したことで、今後は民間主体で計画を進めることになります。

事業の今後について、専門家は…
鉄道ジャーナリスト 梅原淳さん:
「実は建設費を計算すると1キロあたりの事業費は150億円くらいなので、日本の整備新幹線と同じくらい。しかし、アメリカは高速新幹線がまだない国でどのくらいの利用者がいるか分からないし、収支が均衡するのが何年先になるかと考えると、これから事業をやろうと考えるのは少し難しいのではないかと思う」
日本の新幹線技術はすでに台湾へ輸出していて、今後インドへも計画されています。「新幹線の輸出」は、お金だけではない「あるメリット」があるといいます。
鉄道ジャーナリスト 梅原淳さん:
「世界中の鉄道会社同士、特に欧米と競争になっている『規格の策定』で日本の新幹線が有利の面に立つと、日本中心の技術に世界が合わせてくれるようになる。すると、ライセンス料や部品機器メーカーの輸出につながるので、産業としてすごく大きい。新幹線の世界でのシェアが高まれば、日本の鉄道の発言力、影響力も大きくなるのではないか」